豪ライナス、マレーシアで重レアアースの生産増強。戦略物資のサマリウムなど年間5000トン生産、中国に依存しない供給網構築

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マレーシアのクアンタン市にあるライナスのレアアース工場。これに加え新たにサマリウムなどの分離精製施設を建設する(同社ウェブサイトより)

地政学リスクによるレアアース(希土類)供給への不安が世界的に高まる中で、オーストラリアの採掘・精製大手、ライナス・レアアースは10月29日、マレーシアに重希土類の分離精製施設を新設する計画を発表した。総投資額は5億リンギット(約182億円)で、年間処理能力は5000トンに達する見込みだ。

ライナスの発表によると、新プロジェクトは「中国以外の地域からの重希土供給を求める世界的な需要の高まり」に対応することを目的としている。

中国外で唯一のジスプロシウム供給源に

ライナスは、中国企業を除くと世界最大のレアアース生産企業であり、現在、中国企業以外では唯一「軽希土」と「重希土」の双方を分離精製・供給する企業として知られている。

中国政府が2025年4月にジスプロシウムやテルビウム(訳注、電気自動車のモーター用磁石などに使われる)など7種類の重要な重希土類の輸出規制を実施して以降、ライナスは同年5~6月にかけて、マレーシアのクアンタン市ゲベン地区にある工場でジスプロシウムとテルビウムの大規模生産を開始、中国以外で唯一の供給者となった。

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