仕事が片付かず、思いのほか会社を出るのが遅くなってしまい、お見合いするティーラウンジには、ギリギリの到着になった。ティーラウンジに向かうと、入り口には、すでにさとるが立っていた。写真通りの素敵な男性だったので、心が躍った。
「はじめまして。さとるさんですよね」
さとるは、かよこを上から下までチラリと一瞥して、言った。
「席はすでに取ってあるので、行きましょう」
早めに来て席取りをしてくれていたようだ。かよこの中で、ますますさとるへの点数が上がった。
「写真と印象が違いますね」
しかし、好印象を抱いたのはここまでで、座って飲み物を頼み、お見合いがスタートすると、さとるが言った。
「なんだか写真と印象が違いますね。あの写真はよく撮れている」
“実物は見劣りする”と言われたようで、がよこは少しムッとしたが、とにかく1時間は大人の対応で乗り切ろうと思った。
「早めに来てお席を取っておいてくださって、ありがとうございました」
「ここのティーラウンジは、夜景が見えるから夜は、混雑するんですよ。婚活をしていると、都内のホテルのティーラウンジにも詳しくなっていきますよね」
ほかにもお見合いをしていることを匂わせる発言に、またもやムッと来たのだが、そこも受け流して、さとるをほめることに転じた。
「さとるさんは、好条件だし、お見合いのお申し込みもたくさんきているのでしょうね」
すると、さとるがさらりといった。
「そうですね。まあ、いろいろな方にお会いして、その中から決めていこうと思っています」
結婚相談所では、仮交際と真剣交際の区分があり、仮交際の期間中は何人と交際してもいいし、新しいお見合いをしてもいい。
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