日本の海外支援、「都市鉄道」こそ強みが生かせる ジャカルタ地下鉄が日本式を広める「先生」に

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――日本のインフラ輸出は「オールジャパン」から「コアジャパン」に軸を移しつつあるといいます。今後は円借款だけではなく協調融資のプロジェクトが増えるという意味合いもあるのでしょうか?

安井:あと、民間を入れられるのであれば、鉄道に限らず企業の投資やファイナンスというのも考えてもいいのかな、と。

EIB代表者 MOU締結
2023年5月31日のジャカルタ首都圏MRT東西線開発に係るJICAと開発ドナーとの連携MOU締結の様子。EIB(欧州投資銀行)代表者と(写真提供:JICA)
AfD、KfW代表者
AfD(フランス開発庁)代表者(左)、KfW(ドイツ復興開発金融公庫)代表者と(写真提供:JICA)
UKEF代表者
UKEF(英国輸出信用保証局)代表者と(写真提供:JICA)

ジャカルタ経由で「日本式」を各地に

――ジャカルタのみでなく、他の都市でもそういう傾向はあるのでしょうか。

安井:他のドナーが関心を持つようであれば、ぜひそのように展開できればいい。例えばスラバヤは今、KfWが在来線鉄道(KAI)の改良をやっている。一方で、ジャカルタと同じように南北線と東西線の2つのMRTも想定されていて、JICAがプレFS(実現可能性調査)を行っている。

南北線のほうが中心部まで入るので、われわれとしてはこちらが先ではないかと感じている。一方でルートが決まりきっていない。地下にするか地上にするか。地下だと金がかかるが、市の中心部なので地上にすると景観の問題もある。

そういった点から、スラバヤ市や東ジャワ州は東西線を先にやりたいと言い出している。そこで、われわれとイギリスとの間では、東西線をUKEFでやってくださいということにしている。彼らがやるとなると、(路線の仕様は)標準軌の第三軌条となる。彼らはインフラ部分全体をやることになるが、UKEFと話しているのは運営会社を作らないといけないということ。そういうノウハウはUKEFにはほぼない。だから、そこはJICAのほうでサポートしていきますよ、と。

つまり何を考えているかと言うと、MRTJ(ジャカルタMRTを運営するジャカルタ地下鉄公社)をその先生に使いたい。MRTJは日本のノウハウをつぎ込んで作られ、日本的なオペレーションをしている。同じようなオペレーションをスラバヤでやってくれれば、まさにソフト部分についてはジャカルタ経由でスラバヤへ展開することになる。日本らしいところを打ち出せる協力をやっていければいいかなと思う。

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