日本の海外支援、「都市鉄道」こそ強みが生かせる ジャカルタ地下鉄が日本式を広める「先生」に
――欧米のコンサルは、鉄道計画を策定するときに都市全体ではなくプロジェクト単位でしか見ていないといわれ、規格や乗り継ぎも含めてバラバラの状態になってしまいます。一方で日本は都市の全体計画で捉え、マスタープランを作成するのに長けていると聞きます。日本は「インドネシア国ジャボタベック都市交通政策統合プロジェクト(JUTPI)」に長らく協力しており、現在第三期を実施中です。日本はインドネシア主要都市の都市交通開発に今後どのように関わっていくのか、展望をお聞かせください。
安井:そもそもマスタープラン、全体計画にそれほどのリソースをかけて作ることを支援しているのは日本くらいしかないと思う。全体像を描けるのは日本の援助の利点ではある。ジャカルタのMRTも南北線、東西線だけではなく10路線くらい計画があり、マスタープランで提案されている。それに基づいて、南北線と東西線は日本の支援だが、平行して韓国が南のほうをやっているという展開もある。日本が援助したマスタープランに沿って実施していくことになるのではないか。
もう一つはTOD(公共交通指向型開発)で、JUTPIの第三期でやっている支援だ。これの対象はブカシバラット、デポックバル、ブロックM。そのほかに対象としてドゥクアタス(編注:いずれも駅名)を挙げてもらっている。ドゥクアタスはMRT、LRT、国鉄(KCI)、空港線が今はなんとなくつながっているが、うまく結節できるといいかなと思う。円借款でできればいいし、もちろん民間でできるのであれば民間でというところだ。
都市鉄道の運営に税金投入は必須
――東西線の完成は10年後、全線開業はだいぶ先になるかもしれませんが、その先、日本はどういったところに関わっていくことになるでしょうか。大きなインフラよりTODのようなものが増えていきますか。
安井:インフラも引き続きやっていくのではと思う。スラバヤの南北線も念頭にあるし、インドネシア側からバリのLRTなどもやってくれないかという話がある。また、東カリマンタンの新首都の鉄道についても関心はないかという話は来ている。リソースが日本側にもJICAにもあって、かつ日本の技術などを生かせるものがあれば取り組んでいくのはありかと思う。
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