池袋西武とヨドバシ「売り場折半」の波紋と懐事情 北側にヨドバシ出店、西武の集客力に影響は?
また、ブランドから売上高に対するマージンを得るビジネスモデルの百貨店として、一般的にマージンの売上高比率が高い衣料品が縮小することは、収益構造に対する影響も大きい。
関係者によると、そごう・西武が出店ブランドから得ている(対売上高の)手数料率より、ヨドバシHDがそごう・西武に対して求める家賃料率のほうが高い状態になっているという。
その差額分がそごう・西武の持ち出しとなれば収支は悪化する。マージンの売上高比率が低いと言われるラグジュアリーブランドが増え、利率の高い衣料品が縮小すれば、百貨店の利益率が低下することは免れない。売上高拡大が改装後の重要課題となる。
池袋西武は「外商」が強みだったが
改装計画のリリースには、「そごう・西武の強みでもある、お得意様向けの外商機能も今後さらに強化して参ります」と外商の維持についても言及がある。ただ「取扱商品の偏りは、池袋西武の外商にも影響を及ぼすのではないか」と懸念する声も聞こえてくる。
もともと池袋西武は、外商と呼ばれる上得意客向けの販売に強みを持っていた。外商は基本的に百貨店の店舗で販売する商品を紹介することが多いが、展開商品の偏りは販売力にも影響する。人材面でも、最近は池袋西武の外商員が他の百貨店に移ったり、引き抜かれたりしているという。
もっとも雇用や営業面についての懸念は、フォートレスへの株式譲渡前から、そごう・西武の労働組合などが問題提起してきた。「出向を受け入れるといっても、百貨店業務から仕事の内容や質は大きく変わる。同じ額面の給料を渡せばいいという話ではなく、会社は労働へのデリカシーを持たなければならない」(そごう・西武関係者)。
足元の百貨店業界はインバウンドを中心に、高額品などの販売が好調そのものだ。そごう・西武の「新しい百貨店」もその流れに乗ることができるか、来年のリニューアルオープンが注目される。
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