日本の主権を侵害する香港当局を政府は許すのか 香港の民主・人権活動家が日本に向かわない3つの理由
日本では自民党保守派を中心に、ウイグルやチベットなどでの中国の人権弾圧を追及する議員が多い。それほど人権を重要視するならば、故郷を追われるように逃亡している香港活動家らの日本への移民や定住化に向けた受け入れ体制を、欧米並みにしっかりと法的に整えるべきではないのか。
中国の人権問題を、たんなる中国叩きに使っていないか。日本はもっと亡命支援活動や人権救済の動きに積極的になるべきだろう。
主権擁護の意識の低さ
3つ目のポイントは、日本の自らの主権擁護の危機管理意識の低さだ。
中国政府に批判的な香港紙として知られた蘋果日報(アップルデイリー)の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の香港国安法をめぐる裁判で、共謀者の1人として元衆議院議員で弁護士の菅野志桜里(しおり)さん(議員時代は山尾姓)が香港当局から名指しされた。
しかし、菅野さんは黎氏とは面識が一切なく、SNS でコンタクトを取ったこともないと共謀を真っ向から否定している。
しかし香港検察は、菅野さんが国会議員当時の2020年、黎氏側の指示を受けた香港民主活動家である李宇軒(りうけん)氏と接触し、人権侵害を行った外国人や組織に対する入国制限や経済的制裁を定めた法律「マグニツキー法」の日本での制定についてイギリスの人権活動家らと謀議したとして、黎氏の共謀者と名指しした。
これに対し、菅野さんは「マグニツキー法を日本もきちんと制定しましょうという普通の国会議員の活動が国家安全維持法の共謀に当たるとされた。国会議員の言論活動が犯罪化されるのは『これではいかん』と日本の国会議員も日本の政府も深刻に受け止めた。ポイントは日本の国会議員の言論の自由だけではなく、日本の市民社会の言論の自由も同じ熱量で守ってもらわなければならない」と述べた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年4月18日の衆院本会議で岸田文雄首相に「日本の国会議員の正当な政治活動が他国で犯罪化されることは、国家主権、国民の自由の侵害で絶対に看過できない」として強く抗議するよう求めた。
これに対し、岸田首相は「香港当局に対して関心表明を行っている」と説明し、「わが国の国会議員の言論の自由が保護されるよう、毅然(きぜん)と対応していく」と述べたものの、主権侵害であるとの認識や抗議するとの考えを示さなかった。
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