ソフトバンク、AI検索「1年無料開放」に映る狙い 個人顧客向けで初の生成AI活用キャンペーン

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手を組んだパープレキシティは、オープンAIに在籍したアラビンド・スリニバスCEOらが2022年に創業した会社だ。アマゾンのジェフ・ベゾス氏をはじめとする投資家から1億6500万ドル(約260億円)の資金調達を果たしている。

検索エンジンをサブスクで提供するビジネスモデルで急成長し、月間の検索利用数は2億3000万。広告を収入源に開かれた検索エンジンを提供するグーグルに挑戦するサービスとして、注目されており、年内に広告も導入する計画が報じられている。

パープレキシティ・プロの利用イメージ。質問を入力すると、インターネット上のさまざまな情報を基に精度の高い回答を得られる(画像:ソフトバンク提供のデモ動画を一部編集)

サービスは消費者の使いやすさに重点を置いており、利用者が聞きたいことに対し、インターネット上のさまざまな最新情報を基に、最適な内容を要約してシンプルに回答する「アンサーエンジン」の機能が特徴だ。

例えば旅行したい人が行き先・期間・予算などを入力すれば、それに応じた最適な旅行プランを提案してくれる、という具合だ。AIをめぐっては、誤った情報をもっともらしく回答する「ハルシネーション(幻覚)」の問題が指摘されるが、引用元を表示する仕組みも取り入れている。

月2950円のサービスを大盤振る舞い

今回の提携で注目すべきは、ソフトバンクが本業である携帯電話契約にひも付ける形でサービスの無料提供に踏み込み、AIに対する本気度を示した点にある。

戦略的提携の記者会見に臨んだソフトバンクの寺尾専務執行役員(左)とパープレキシティのスリ二バスCEO(画像:オンラインでも開催された会見のキャプチャ)

通常、パープレキシティ・プロの利用料は月2950円(年2万9500円)から。これをソフトバンク、ワイモバイル、オンライン専用のラインモの契約者であれば、専用サイトから2025年6月18日までに申し込みをすると、1年間無料で利用ができる。

【2024年6月28日15時25分追記】無料期間に関する表記を一部修正いたします。

ラインモの最安値プランの基本料が月990円であることを踏まえると、消費者にとってはAIサービスを気軽に使えるチャンスともいえる。

両社にとって“採算度外視”にも映る思い切ったキャンペーンの裏には、どんな狙いがあるのか。ソフトバンクの寺尾氏は「回線や将来的なARPU(1ユーザー当たりの平均通信売上)に対する効果はある」としながらも、「いちばん大きいのは、AIって何だろう、AIのサービスはどう進めていくのがいいだろう、という先進事例になるんじゃないか。将来的には、スマホに関わらないデバイスでも学びがあると思っている」と期待する。

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