ソフトバンク、AI検索「1年無料開放」に映る狙い 個人顧客向けで初の生成AI活用キャンペーン

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今回の提携は、あくまで既存のパープレキシティ・プロをソフトバンクのユーザーが無料で使えるようにするものだ。サービス自体に直接的な連携はないが、寺尾氏は「この先、われわれの中にその(パープレキシティの)サービスを取り込むことも考えている」と言及。自社が開発したLLMを、将来的にパープレキシティに組み込むことも想定していると明らかにした。

「(無料期間の)1年間で十分にこのサービスを経験していただきたい。まだまだ改善しないといけないところもあり、この1年でしっかり磨き込み、お客様がお金を払っていただくに足るサービスにしたい。1年経った段階で、お客様に契約を継続されるかどうかについてお伺いしようと考えている」(寺尾氏)

この1年は、事業化を見極める試験期間であるというわけだ。顧客にうまく浸透していけば、AI利用を組み込んだ携帯プランなどが登場する可能性もある。

ヤフーでも検索エンジンを展開するが…

ただ、LINEヤフーを傘下に持つソフトバンクでは、自社グループ内でヤフーの検索エンジンを展開している。パープレキシティ・プロのようなAIを組み込んだ検索サービスが将来的に普及すれば、ヤフーと競合する存在になりかねない。

寺尾氏は今後のヤフーの位置付けが経営課題になりうると認め、「技術は毎年進化していく。当然ヤフーもこの技術に刺激を受けて進化しないといけないし、進化すべきだ。今回は有料版なので直接的なコンペティター(競争相手)にならないが、AIを取り込んだ進化をやり続けることが重要だ」と強調した。

生成AIが普及すれば、従来のユーザーによる「検索」のあり方が一変すると指摘される。アメリカでは、検索エンジンを展開するグーグルがChatGPTの公開後、社内に向けて「コードレッド(非常事態)」を宣言し、LLM開発に奔走した逸話が知られている。

生成AIはグーグルやヤフーといった既存の無料検索エンジンが特徴とする、広告ビジネスモデルを脅かす可能性を持つ一方で、AIが今後の時代を変える力を持つ革新的技術である以上、その技術を取り入れた開発に踏み切らざるをえない実情があるといえる。ソフトバンクの戦略は、こうした過渡期の取り組みとしても理解できる。

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