薬剤費の自己負担にあえぐ患者、6割近くが「生活費切り詰め」「貯蓄取り崩し」

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薬剤費の自己負担にあえぐ患者、6割近くが「生活費切り詰め」「貯蓄取り崩し」

6割近い患者が薬剤費一部負担金を「高い」と感じていることが、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)による保険薬局での患者へのアンケート調査で明らかになった。

全日本民医連は9月1日、「お金の切れ目が薬(命)の切れ目。高患者負担と高薬価の実態」と題した調査結果を発表。「患者が希望する医薬品を経済的事情で使えない事態になっている」と警鐘を鳴らしている。

調査は全日本民医連に加盟する全国327薬局を対象としたもので、調査時期は2011年3月から6月。調査方法は、患者自身にアンケート用紙に回答してもらう方法で、患者から回収されたアンケートは978件(患者から回答があった薬局は137カ所)。

医療費が公費負担でない患者で、抗がん剤、インスリン製剤、リウマチ治療薬(生物学的製剤)を使用している患者を対象に、患者が支払う一部負担金に対する意識について尋ねた。

アンケート結果によれば、回答した患者の58.9%が一部負担金を「高い」と回答。56.5%が「医療機関(病院や診療所)を含む一部負担金の支払いで「工夫している」と答えている。

「工夫」の内容で目立つのが、「日々の生活費を切り詰めている」(60.3%)、「自らの貯蓄を取り崩している」(29.2%)などで、少数ではあるが「借金をしている」(2.7%)との回答もあった。また、アンケート回答者の13.7%が「治療を中断した経験あり」と回答。治療中段の理由のうち50.7%を「経済的理由」が占めている。

薬剤の種類別で見た場合、一部負担金を最も「高い」と感じているのがリウマチ患者で、「高い」との回答の割合は71.4%。生物学的製剤はリウマチ患者の日常生活の質(QOL)を劇的に改善させている一方、十分な投与を受けていない患者が存在することも明らかになっている。

「週1回の使用が望ましい」と医師から勧められているにもかかわらず、おカネがないために隔週使用にとどめている60歳代女性患者の例を、今回の調査は挙げている。

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