子どもへの「よかったね」が呪いに変わる瞬間 「言い換え」してもなぜ子どもは変わらないのか

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なので、どのような言葉を使うかはとても重要になってきます。特に相手がいる場合、単純に情報を伝えるだけであれば、正確さ、的確さを意識していればいいですが、相手の心に訴えかける場合は注意が必要です。心が変わらないと、人は自主的に行動をしないものだからです。

では、先に今回のご質問の結論についてお伝えします。

伝わっているのは言葉ではなく「感情」

「プラスの言葉かけ」「魔法の言葉」「NGワードからOKワードへの言い換え」をしても、子どもに伝わらないのは、その言葉に乗っている“感情”がネガティブだからです。

言葉かけは、その使われた言葉の内容よりも、言葉に乗っている「感情」が伝わっています。

石川さんのケースで言えば、子どもに自主的に行動してもらいたいとき、ある感情が湧き出ているはずです。それは、「どうしてこの子は自分からやらないの!」というイライラの感情です。すると親が発する言葉がどのようなものであれ、その感情が乗った言葉と、親の雰囲気や態度とともに子どもに伝わっていきます。ですから、感情が変わっていないのに、いくら言葉を言い換えたところで、子どもの行動が変わることはありません。

【魔法の言葉が呪いの言葉に変わる例】

筆者が推奨している「子どもの自己肯定感を高める10の魔法の言葉」も感情が異なると、呪いの言葉に変わってしまいます。例えば次の3つのケースをご覧ください。

(1)ありがとう

「ありがとう」という言葉は、昔から言われてうれしい言葉、言ってもうれしい言葉として大切にされています。しかし、この「ありがとう」という言葉に乗っている感情によっては、相手を傷つける呪いの言葉に変わってしまうことがあります。

通常は、微笑みながら、やわらかい口調で「ありがとう〜」と言います。すると感謝の気持ちが言葉に乗って届き、相手に「ありがとう」の意味が伝わります。しかし、次のような言い方はどうでしょうか。

眉間にシワを寄せながら、投げやりな言い方で、「ありがと!」と発したとします。どう考えても感謝とは程遠い気持ちしか伝わりません。イラつきが伝わってきます。しかし、使っている言葉は「ありがとう」です。

(2)頑張ってね

「頑張ってね」という言葉は、笑顔で言われたり、別れ際の挨拶代わりに使われたりする場合、言われた側は応援され、励まされた気持ちになります。しかし、嫌味っぽい顔つきで「頑張ってね〜」と言われたらどうでしょうか。言われた側は気持ちを害すると思います。もはや応援という意味での「頑張る」は一切伝わらず、「できるはずもないのに、よくやるよ」というニュアンスの気持ちが相手に届き、心を傷つける言葉に変わります。

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