航空管制官が日本の空港でも英語を使う理由 ミスが許されない環境のコミュニケーション

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誤解をなくすうえでいちばん重要なことは、耳で聞いただけで、明確にこの言葉とこの言葉は違うと区別できることです。ふだん使い慣れている母国語であるために、かえって曖昧さを許容してしまったり、微妙に違う意味に捉えてしまうこともあるでしょう。

管制でよく使う言葉に「指示」「許可」「承認」があります。この3つは似て非なる言葉で、管制方式基準ではそれぞれ明確に定義されています。しかし、その定義をしっかり認識していないと、母国語であるがゆえにそれぞれが勝手に意味を読み取って、解釈が分かれてしまう可能性もあると私は考えています。

実際、英語を母国語とするアメリカではコミュニケーションエラーは少ないのかというと、そんなことはありません。管制を母国語で行なったからといって、ミスやエラーが減るわけではないのです。

聞き間違いを防ぐ「フォネティックコード」とは

管制で使う英語は、誤解を生じないように定義されていると述べましたが、その例をいくつか挙げておきましょう。

たとえば、「Yes」「No」は基本的に使いません。「Yes」と答えたいときは「affirm」「No」は「negative」といいます。それぞれ音節が短く聞き取りにくい、ほかの言葉と区別しにくいというのがその理由です。

とくに「No」は「Know」と音が同じでまぎらわしく、また「All」など「O(オー)」の音に似た母音を含む単語が多いのも理由だといわれています。アルファベットも、やはり短くて聞き取りにくいため、「A(エー)」「B(ビー」)「C(シー)」とは発音しません。誰しも日常的に、B、D、E、P、Tなどは、聞いたときにどれなのか迷ってしまい、相手に確認した経験があるのではないでしょうか。

ABCは、それぞれ、「A(Alfa:アルファ)」「B(Bravo:ブラボー)」「C(Charlie:チャーリー)」。日本語でも、電話などで発音しにくい文字を説明するときに「アジアのア」「イロハのイ」などというのと同じです。これを「フォネティックコード」といいます。

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