ドライバー不在「AIカーレース」の息を呑むバトル 完全自動運転に向けたAI技術と人材開発に向け

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こうした一連の機能開発が、各チームのマシンの走り方の違いを生み出す要素となる。また、その開発過程が「ストレステスト」の役割をも果たし、公道上での自動運転車の安全性を向上させるとASPIREは説明している。

レース当日のヤス・マリーナ・サーキットには、UAEと中国の合同チームであるFly Eagle、UAEとシンガポールの合同チームKinetiz、アメリカのCode 19、ドイツのミュンヘン工科大学(TUM)とコンストラクター大学、ハンガリーのHumda Lab(セーチェーニ・イシュトヴァーン大学が協力)、イタリアからはPoliMOVE(ミラノ工科大学)とUnicmore(モデナ大学)という全8チームが集結した。

しかし、走行セッションが開始すると、出場チームの多くが準備不足を露呈した。単独走行でもマシンが突然蛇行したり、コースを外れたり、コース脇のバリアにぶつかったりする場面がいくつも見られたのだ。A2RLによれば、多くのチームがセンサーからのデータを分析・処理するアルゴリズムの開発部分で手間取っていたようだ。

一筋縄にはいかなかった初回レース(写真:A2RL)

例えば、アメリカの新興チームCode 19は、経験不足による開発の遅れのためか、マシンが次に行うアクションを算出するのに、主にGPSのデータに頼る状況から抜け出せていなかったという。

一方、ほかの自動運転レースへの参加経験を持つPoliMOVEなどは、GPSよりもLiDARなどからの情報を基にさまざまなリスク計算を行う、より実用に近い自動運転手法を採用した。その結果、単独走行では最高時速250kmを超え、参加チーム中最も速い、2分を切るラップタイムを記録した。

続いて行われた予選セッションでは、1台ずつコースを走り、記録したタイムによってスタート順位を決定する。ここでもチームの技術力と経験の差が表れ、自動運転に関連する経験値の高いPoliMOVE、Unimore、TUM、コンストラクター大学の4チームが予選通過を決めた。

予測不能な決勝レース

全8周で行われる決勝レースは、ゆっくりとしたペースで始まった。これは、運営側が最初の2周を追い越し禁止にし、各チームがマシンをチェックできるようにしたためだ。

そして実質的なレース開始となるはずだった3周目に、最初のトラブルが発生してしまう。首位のマシンがスタートラインから加速し始めたとき、なぜか3番手のTUMのマシンが最終コーナーで停止してしまったのだ。4番手のコンストラクター大学のマシンも、TUMのマシンの後ろで立ち往生してしまった。

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