戸田がまた暴れた--医療施設建設でナンバーワンの受注実績、大手ゼネコンが舌を巻く理由

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 「原稿を棒読みするのではなく、頭に概要が詰まっていた。用意周到でないとあのようなプレゼンはできない」と、その場に居合わせた大手ゼネコン幹部は振り返る。

「狙った獲物は逃がさない」。戦後一貫してひたむきな営業姿勢を貫く順之助氏の威光を感じる社長以下、幹部たちの仕事への姿勢がうかがえる。社長という絶対的立場でも、権力を内向きに行使せず、外向きに「看板」を最大限利用する。
 
 社内の出世頭で、そのまま神輿に担がれたゼネコンの上席役員たちが、忘れがちな現場感覚。異例中の異例であるトップセールスを演じ切った井上社長の姿勢には、戸田独特のひたむきさが感じ取れる。

大手町再開発で「5社プラスT」と大手並みの呼び声も

ゼネコン業界は、民主党政権以降、縮小均衡が鮮明になっている。上位48社の11年度工事受注額(日建連調べ)は9.3兆円と2期連続の大台割れ、3期前の3割も少ない低い水準だった。このうち官庁は2.1兆円で過去最低。この中で「教育・病院」の比率が17.5%と上昇した。今後も「教育・病院」という建設需要が比較的見込まれる公共建築分野は、ゼネコン各社の競争が激しくなるとみられる。

そんな中、戸田建設は、大手と入札で勝負する案件では、思い切った低価格の入札条件を提示し、技術面の評価を加味する総合評価で高得点を得て、落札に持ち込むケースが目立つとされる。

「総合病院の多くは施設が老朽化し、経営自体厳しい。中小を含めて理事長から、土地取得から補助金申請までさまざまな相談を受けて、建て替えに至るすべてをお手伝いするノウハウがある」(岡専務)。

市場関係者や設計コンサル業者の間には、他の準大手ゼネコンが人員削減で経営体力を落とす中で、戸田が、売上高で頭ひとつ抜け出したことから、「スーパー5社プラスT」という大手5社並みの評価が一部で広がっている。

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