危機は循環する 白川浩道著

危機は循環する 白川浩道著

あまたある日本経済展望論の中で、本書をユニークにしているのは「貯蓄税の導入」の提唱である。

「消費低迷、国内超過供給によるデフレが長引けば、長期的にみて財政の破綻確率は上昇する」、さらなる金融緩和や「むしろデフレを深刻化させる」消費税増税ではなく、富裕層に税負担を強いる貯蓄税の導入こそ、消費刺激面からも賢明と詳論する。

提唱された貯蓄税の制度設計の基本コンセプトは、家計貯蓄の「過剰部分」に課税するというもの。具体的には預貯金と国債保有で2000万円を超える部分に、実効税率がデフレ率と等しくなるよう課税する。同様の効果の「マイナス金利政策」より経済的な混乱ははるかに少ないという。

世界を見渡してもこの種の貯蓄税の例はない。世界で希有の長期デフレに陥っている日本だけに、前例を超えた新たな試みに価値はありそうだが、何より新税を政治的にこなせるかが、第1の関門になりそうだ。

NTT出版 2310円

  

マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • 最新の週刊東洋経済
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 就職四季報プラスワン
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
変わる日立<br>IoTで世界へ挑む

日本を代表する巨大総合電機企業が今、「脱製造業」ともいえる動きに舵を切っています。攻めの主役は「ルマーダ」。社長の肝煎りで始まった独自のIoT基盤です。データを軸にGAFAと組むことも辞さないという改革の成否が注目されます。