アップルがAI競争に参戦する「とっておきの武器」 年次開発者イベント「WWDC24」でついに明らかに

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また写真アプリで、「京都で白いシャツを着ていたときのビデオ」と調べると、その通りの動画が出てくる。

これらは非常にさりげないことのように思えるのだが、実際どうなのだろうか。

プライバシー問題が重要な理由

この時点で、既存の(フェデリギの言葉では「古典的な」)チャットでの生成AI利用では、非現実的かもしれない。その理由が、アップルがことあるごとに強調し、今回のアップルインテリジェンスでも重要な差別化要因として採用している「プライバシー」問題にある。

先の例を考えてみると、まず準備として、チャットに自分のメールの山を読み込ませる必要がある。また、そもそもの話として、「誰が家族なのか?」を知らせる必要もあるだろうし、自分の今日の予定や、住んでいる住所もまた、AIに伝える必要がある。

iPadOS 18の「メモ」はAIで大幅に強化される。スケッチから画像を生成する「Magic Wand」や、手書き文字を学習して貼り付けた活字を手書きで表現する「Smart Script」、手書きの筆算や数式を自動計算してくれる「Math Notes」、録音の文字起こしと要約などが利用可能になる(筆者撮影)

ここで、プライバシーの問題が出てくる。メールの内容や家族関係など、非常に個人的な情報や文脈を、既存の生成AIに教え込むことが、安全ではないからだ。あるいは、写真やビデオを含む膨大なデータ量を全てクラウドに送り込み、分析してもらわなければ、それらの結果を得ることができなくなってしまう。

アップルは、こうした情報を利用可能な形にする作業(インデキシング)を、デバイス内に完結して処理する。そのための機械学習処理を行うためのパワフルなチップを、2020年以降搭載し続けてきた。

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