一流の経営コンサルタントに求められること 自分を律する覚悟なくして務まらない

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異業種からの転職ですから、採用する側もそれ、つまりアンドリューさんが貢献してくれるようになるまでには、ある程度、時間がかかることを想定して採用をしています。つまり足元のアウトプット以上の何かを期待して採用しているわけですね。

おそらくファームとしてアンドリューさんに求めているのは、足元のアウトプットではなく、「個人としての成長曲線をどれだけ高められるか」です。私が若い人を評価する場合、出した結果そのものよりも、成長曲線の角度で評価します。最初のうちは、大したアウトプットはできないものです。そのため、成長カーブを見てあげるわけです。

仕事を通じて自分に足りない能力や経験、自分の思考回路のクセなんかを把握して随時改善をするという、自分改善PDCAを高速で回す作業をつねに行う必要があります。つねに最新の課題解決にあたる仕事においては、どんなベテランでも、常時、求められるスタンスです。

自分のバリューを打ち立て、中長期で成長を

大手コンサルで働いているということは、当然、周りには優秀な方が多いのだと思います。その中で生き残っていくためには、プロジェクトを通じた学びとか、会社から指定された範囲での研修や学習(勉強)は、当然、やるべきことで、それに加えてプラスアルファが必要なのです。私は、研修が充実している会社ほど気をつけるべきだと思います。どんな会社でも同一であることに価値はありませんから、大切なのはプラスアルファです。

「当たり前のこと」だけでも大変だと思いますが、結局、この仕事で生き延びるためには、まさに自分のバリューをどこで打ち立てるか、つまり自分の売りや特徴を打ち立てないといけないわけです。周りと同じでは価値がないわけです。

その強みをどこに打ち立てるかは、外部環境(ファームの強みやほかのメンバーのスキルなど)と、ご自身(興味や現在のスキルセットや経験など)によって異なるので、なんとも言えませんが、ぜひそんなスタンスで、短期ではなく中長期での成長に軸足と思考を置いてみてください。5年くらいしないと本当の価値はわからないと思います。つまりそれだけの覚悟も求められる仕事ということです。

もうひとつアドバイス。周りには、それぞれの分野におけるトップコンサルタントがいると思います。その人から仕事の内外でいろいろと学ぶのも大事だと思いますよ。

「自分で考えろ」と言われる可能性もありますが、人によってはいろいろと教えてくれます。自分から懐に飛び込むというスタイルで積極的に動かなければ、待っていても何も起こりませんが、やってみる価値はあると思います。教えてほしいことを明確にしたうえで、業務外でもいいから話しかけるといいことがあるのでは?と思います。

いろいろと大変だとは思います。ただし、皆、やはりそういったことを経験して、今の自分を作り上げてきています。今、涼しい顔で活躍している彼・彼女だって、昔は火を噴いていたはずなので、見るべきは自分の成長曲線です。

わからないことを調べたり、周りの頭がよさそうなヒトに聞けばいいのです。ただし、長期で成長させるためのコミットは、自分自身にしかできません。そういった自分を律する覚悟が大切なのが、この仕事です。足元の結果のみで判断せず、ぜひ、将来の自分を作り上げる過程としての修業期間を、有益なものにしてください。同じ異業種転職組として応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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