もし、SNSが「ある/ない」時代に学生期を送ったら Z世代と非Z世代とでつくられた「Z社会」の構造

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通勤しながら読んでくれているあなた、お茶休憩中に読んでくれているあなた、ぐったりと退勤しながら読んでいるあなた、もしくは授業中に読んでいるあなた。

それぞれもう一度、ソーシャルメディアがない学生期を想像してみてください。

次に、ソーシャルメディアから逃れられない学生期を想像してみてください。

多様な意見や感情の吐露があるでしょう。それがあなたのZ世代論、いや「Z社会」論です。舟津先生の本を読んでいただければ同意できる側面とそうではない側面があるはずです。ぜひあなたなりのコメンタリーをつけてみてください。

社会の変化に気づくことが相互理解につながる

既にソーシャルメディアが存在することを前提としている世代、それがZ世代です。そしてソーシャルメディアを前提として再構築されたのがZ社会なのだと思います。われわれを取り巻く環境が変化したときに、少しずつでもそれに適応して生きていかねばなりません。少しずつ社会は変わっていくのです。少しずつ変わっているからこそ変化していることに気が付きにくいわけですが、ふと立ち止まって考えるきっかけを本書は与えてくれます。

学生期を思い出すと、確かにあの頃は不安を感じていて、迷いながら困りながらも試行錯誤してきたのだろうと思います。その結果があなたの「いま」です。同時に、Z世代のみなさまも、「いま」の社会のなかで試行錯誤しているのです。それを思えば、「Z世代の子たちは~」と他人事のように揶揄することはなくなるでしょう。

もちろんZ世代もそうです。次の世代は、自分の学生期とは異なる社会のなかで学生期を送ることになる。そのときに、社会の変化に気づくことができれば、少し優しくなれるかもしれない。

Z社会の次はそんな社会になるといいなと思います。

中園 宏幸 広島修道大学商学部准教授

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なかぞの ひろゆき / Hiroyuki Nakazono

1989年鹿児島県生まれ。2012年大阪大学大学院経済学研究科修了、15年同志社大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。 同志社大学商学部助教、広島修道大学助教を経て、19年より現職。21年より一橋大学大学院経済学研究科、22年より同志社大学中小企業マネジメント研究センター、24年より一橋大学大学院経営管理研究科にて客員研究員を務める。著書に『Open Innovation through Strategic Alliances』(共著、Palgrave Macmillan)、『Platforms and Artificial Intelligence』(共著、Springer)がある。

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