宅配便、値上げトレンドが目先一服の理由

見解分かれる日本郵便の出方に注目集まる

神奈川県にあるヤマトの物流ターミナル。4月に従来商品より小型で低価格の新商品を投入した。(撮影:尾形 文繁)

宅配便の値上げが岐路を迎えている。前2015年3月期の1個当たり平均単価はヤマトホールディングスが595円(前期比21円増)、佐川急便を中核子会社に持つSGホールディングスが503円(同17円増)となった。現状、宅配便市場は日本郵便(JP)を含む大手3社でシェア9割を超えるが、JPは平均単価を公表していない。

近年は、燃油費高騰やドライバー不足の深刻化を受け、荷主も値上げを容認せざるをえなかった。値上げの実態は判然としないが、ヤマトは小口取引先に関してはほぼすべて、大口取引先も過半が交渉を終えたとしている。

焦点は日本郵便の出方

ただ、今後の単価動向については読みづらい展開になりそうだ。各社別にいえば、JPは8月から「ゆうパック」の単価引き上げを行う。ただ、これは料金体系を公表している個人向けであり、問題は大口顧客の法人向けだ。

鶴田信夫執行役員は「(大口顧客向けも)必要があれば今後値上げを進めていく」とする。業界内では、今秋に親会社の日本郵政の上場を控えるJPが採算を重視して値上げ路線に転じるのか、あるいはシェア拡大加速へ価格攻勢を強めるのか、見方が分かれる。

ライバルのヤマトは「交渉をやめるわけではないが、もう少し長い目で値上げを考えていきたい。じっくり話をしながら、きっちり上げていきたい」(同社幹部)と、JPへの対抗上、値上げについてややトーンダウンしている。一方の佐川は「値上げは一巡した。2016年3月期も平均単価は前期と変わらない」とし、現状の価格戦略を維持する考えだ。

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