宅配便、値上げトレンドが目先一服の理由 見解分かれる日本郵便の出方に注目集まる

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また商品面では、ヤマトが4月に従来商品より小型かつ低価格の「宅急便コンパクト」「ネコポス」を投入している。計画数量は非公表だが、推定1億~1.5億個とみられる。これにより、2016年3月期の宅配便全体の平均単価は565円に低下する見込みだ。

JPはすでに2014年に小型の「ゆうパケット」を開始。さらに宅配便の範疇には含まれないが、今年4月に専用封筒サービス「スマートレター」(公表料金180円)を投入するなど低価格商品のラインナップを拡充している。これが平均単価を押し下げる方向に働くのは間違いない。

慢性的にドライバーが不足

値上げの契機となった燃油価格の上昇が一巡した中、もう一つの要因であるドライバー不足は簡単には解消されない。宅配便各社も幹線輸送については、専門業者に委託する部分が多い。

普通免許で運転が可能だったところ、2007年に中型車の免許制度が導入され、受験資格が20歳以上になり、ドライバー不足は構造的問題となっている。幹線輸送業者は待遇改善に躍起だ。

宅配便各社にとっても幹線部分の委託費増に加え、自社の人手不足や普通免許取得者自体の減少も負担となるため、潜在的な値上げ要因は消えることがない。値上げ基調は目先落ち着いても、中期では波乱含みといえる。

「週刊東洋経済」2015年7月11日号<6日発売>「価格を読む」を転載)

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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