半端ない復旧への熱「火の国」熊本ご当地鉄道事情 新幹線に観光列車、海へ山へ路線は意外に充実

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……と、このように、熊本県の鉄道はほとんど熊本駅を中心に成り立っているといっていい。ただし、もちろんそればかりではない。九州新幹線に乗って少し南に走れば、新八代というターミナルがある。八代市の第2のターミナル。この八代という町を起点として、在来の鉄路はふた方向に分かれている。

1つは、旧鹿児島本線が第三セクターに転じた肥薩おれんじ鉄道線。レストラン列車の「おれんじ食堂」は、近年の観光列車ブームの火付け役で、2013年の登場から10年以上経った今でも八代海を望む車窓とともにいまだに高い人気を保っている。

ちなみに、九州新幹線はおれんじ鉄道線に並行して走っていて(並行在来線だから当たり前ですが)、鹿児島県との県境近くには水俣の街。おれんじ鉄道のターミナルは水俣駅、九州新幹線は市街地から少し離れた新水俣駅である。

山越えて鹿児島へ抜ける

八代駅から分かれるもう1つの道筋は、観光ローカル線といったらいの一番に名があがる、肥薩線である。

もともとは鹿児島本線の一部として建設されたが、水俣を経由する現在の肥薩おれんじ鉄道線が開業したことでローカル線の立場に転じた路線だ。

つまり“古の大動脈”。球磨川の河谷沿いをくねくねカーブしながら走り、人吉盆地は人吉駅が沿線最大のターミナル。さらに肥薩線は南進してスイッチバックやループ線で山を越え、宮崎県をほんのわずかにかすめて鹿児島県に入っている。肥後と薩摩、その名の通りの肥薩線である。

八代駅
くまモンと八代駅。鹿児島本線と肥薩おれんじ鉄道線の境界駅でもある(撮影:鼠入昌史)
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