「りんご」の鉄瓶が伝統工芸の世界にもたらす新風 大学やスタートアップと連携しAI活用も模索

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
南部鉄器の伝統的な製造風景
江戸時代から変わらない南部鉄器の伝統的な製造方法(写真:タヤマスタジオ提供)

技術を途絶えさせないため、1959年に盛岡と奥州、両地域の鋳物組合が共同で「岩手県南部鉄器協同組合連合会」を設立。これが現在知られる「南部鉄器」という名称の始まりとなる。

つまり、来歴の異なる2つの産地で作られた製品の総称が「南部鉄器」。

川の砂と水と粘土を使い、手作業で鋳型から作る伝統技法にこだわる小規模な工房から、工業化によって比較的、安価な製品を作ることのできるメーカーまで大小さまざまな製造元がある。

ひと口に鉄瓶と言っても、1万円前後のものから数十万円のものまでさまざまなのは、こういった事情がある。

鉄瓶めぐる多角経営で起業

そのような中、「kanakeno」のブランドで鉄瓶を製造・販売する南部鉄器職人の田山貴紘さん(盛岡市)は、職人が1つひとつ手づくりする昔ながらの伝統的な技法にこだわって事業を展開。

20~50代の職人を雇用し鉄瓶を製造するほか、商品を手に取れるカフェや店舗の経営も手掛ける。

田山さん
「工芸が存在する意味を社会に問いたい」と語る田山さん。革新的な手法を持ち込みながら、社会に発信したいのは、経年変化し“寂びる”道具である工芸が持つ価値だという(写真:筆者撮影)
古い写真館をリノベーションしたカフェ
古い写真館をリノベーションしたカフェengawa(盛岡市)では鉄瓶で沸かしたコーヒーや紅茶を提供している(写真:タヤマスタジオ提供)
次ページ父は南部鉄器職人 「東京で南部鉄器を誰も知らない」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事