松本大・マネックスグループ社長--米国、中国市場でシェアを伸ばす余地は十分にある
安価な手数料を武器に、個人の株式売買の7割以上のシェアを獲得したインターネット専業証券。しかし、2007年度以降は株式の売買代金が伸び悩み、収益環境は厳しい状況が続く。停滞する市場環境をどう打破するか。ネット証券大手4社のトップに聞いた。
--ネット証券業界の現状をどう見ているか。
他社との差別化が徐々に難しくなっている。12年前にネット証券が登場した当初は、インターネットで株取引をできること自体が新しく、手数料もそれまでとはケタ違いに安くなった。取引画面は情報量が多く、リアルタイムで見られるなど、すべてが強烈に新しい存在だった。
そうした中、貸株はマネックスだけ、夜間取引もマネックスでしかできないなど、他社と差別化できる要因があった。しかし、現在ではそうしたサービスはそろっていて当然になっている。競合同士が同質化している。
--個人の株式売買高のシェア争いで苦戦しているが。
国内の売買高シェアは非常に重要で、今後は上げていきたい。今年3月に手数料の引き下げを発表し、少額取引の手数料で特に約定代金30万円以下は業界で最低水準とした。こうした手数料引き下げの効果が今後出てくるだろう。
また6月には、米国のオンライン証券会社であるトレードステーションを買収した。ここはアクティブなトレーダー向けのツールが優れている。今後、そのツールを国内にも導入することで、アクティブトレーダーの利用者を増やすことが可能だと思っている。
--米国、中国の市場開拓も目指しているが、その戦略は。
当社グループは、米国と香港でオンライン証券会社を買収した。今後はその企業をベースに米国、中国それぞれの市場でのシェア拡大を図っていく。これにより営業収益の割合を、現状の日本65対米国33対中国2から、4年後には日本40対米国35対中国25に持っていきたい。