松本大・マネックスグループ社長--米国、中国市場でシェアを伸ばす余地は十分にある
米国で買収したトレードステーションは、ダウ・ジョーンズの発行する米国投資雑誌『バロンズ』でナンバーワンの評価を得ている。現在は取引件数で全米7番目あたりの規模だが、世界中のアクティブトレーダーの間では有名な存在だ。
たとえば、トレードステーションの取引機能の有利な点を言うと、非常に多様なチャートが作成可能であり、チャート上からの注文機能が優れている。
ボタン1つで過去の取引状況を取り出せるほか、プロ向けでも見掛けないくらい優れたバックテストの機能もついている。また、非常に多彩な種類の注文形式を受け取れるほか、ポートフォリオを管理するツールも優れているなど、かなり機能が進んでいる。
しかし、トレードステーションは米国では、いわゆるシステムトレード(=自動売買)の会社だと思われている。同社もシステムトレードの利用者向けの宣伝をしている。これは非常にもったいない。
確かにシステムトレードの機能では優位性があるが、実際には自分の判断でトレードする通常のアクティブトレーダーにも多く利用されている。
そのため米国市場でのシェアをさらに伸ばしていくには、今後マーケティング、宣伝の仕方を変えて、アクティブトレーダー層をもっと開拓していく必要がある。また、今までは自分たちのツールに自信があったので、課金モデルを採っていた。
これも少し変えて、最初は無料で使えるようにするなどして、新規の参加者を増やしたい。長期的には、マネックスが日本で作った資産形成層向けのサービスなどを米国でも展開したい。
--トレードステーション買収に伴うコスト面での効果はどうか。
買収により、今後はこれまで外注していたシステムをグループで内製化することができる。その分、グループの外に出ていくカネが減り、コストカットできる。