地銀に迫る「新資本規制」、高収益モデルに逆風 高リスク資産の売却や還元抑制に動く地銀も

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そこで同行は純投資株の売却を推進する。2025年3月期業績は純利益が120億円と前期比で2.2倍に急伸する見通しだが、これは株式の売却益が理由だ。

「大変重要な問題だ」。スルガ銀行の加藤広亮社長も危機感をにじませる。同行が抱える賃貸用不動産向けの多額の貸出金も、バーゼル3によってリスク量が増えるためだ。「1年前の2023年3月期時点の試算で、自己資本比率は1.65ポイント低下する」(加藤社長)という。

適正なリスク量を再考する契機

石川県の北國フィナンシャルホールディングスは、バーゼル3適用による自己資本比率の低下を見据えて、株主還元を抑制する方針だ。同社は傘下のファンドを通じた株式投資を行っているが、バーゼル3によって株式のリスク量は段階的に2.5倍に上がり、一部の非上場株式は4倍にまで引き上がる。

リーマンショックの反省から生まれたバーゼル3。中小企業向け融資のリスク量を下げて貸し渋りを防ぐ一方、価格変動リスクの高い株式などは、逆にリスク量を膨らませて投資を抑制させるねらいがある。

バーゼル3が向かい風となる銀行は、中小規模の地銀が目立つ。抱えているリスク量が経営規模に対して適正か、新規制は再考を促している。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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