開発見直しで220億円特損、スクエニが抱える苦悩 収益悪化を受けゲームの開発方針を大幅転換へ
ゲーム業界ではヒット作の有無が業績を大きく左右するため、スクエニは本数を多く出すことでリスクヘッジを狙ってきた。ただ、開発人員などのリソースが分散したこともあり、一部の大型タイトルや、社内で作り切れずに外部に開発を委託したタイトルなどでは、期待通りの収益を得られず、結果としてHDゲームや全社の収益性の悪化をもたらした。
スクエニの2024年3月期の営業利益率は9.13%。直近数年の営業利益率で比較すると、同業のカプコン(前期実績は37.4%)やコーエーテクモHD(同33.6%)とは、20%以上の大差をつけられている。
新たな開発方針の下、今後は既存IP(知的財産)を活用した大型タイトルを中心に数を絞り、自社の開発リソースを集中させる。今回の特損では、この方針に合わない中堅タイトルなどが開発中止の判断を下されたとみられる。
新規投入のFFシリーズも不発
一方、大型タイトルへの依存度が高くなれば、売れ行きが予測を外れたときのリスクが増大するというジレンマに直面する。
実際、スクエニが最近発売したタイトルを振り返ると、有力なIPであっても必ずしもヒットする状況ではなくなっている。
2024年3月期はファイナルファンタジー16(2023年6月発売)とファイナルファンタジー7リバース(2024年2月発売)を投入したものの、開発費の償却負担や評価損をカバーできず、HDゲームの売上高は992億円(前期は785億円)、営業損失は81億円(同41億円の赤字)に膨らんだ。
厳選したタイトルをヒットさせるためのカギとなるのが、マルチプラットフォームでの展開だ。
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