北大阪急行電鉄「箕面延伸」はこうして実現した 地元待望、大阪メトロ御堂筋線と一体直通運転

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正直、北急の延伸計画を聞いた段階では、ハハァ、山を拓いたニュータウン開発路線だろうと早合点していた。ところが現地を訪れてみると、箕面船場阪大前はオフィス街であり、箕面萱野は一面に市街地が広がっている。

そこで箕面市役所と北急本社を訪ね、市の姿と延伸について知識を仕入れた。箕面市は大阪府の平野部北端に位置しており、市役所は阪急箕面線の牧落駅からほど近い場所にある。承知のとおり、阪急箕面線は現阪急が箕面有馬電気軌道として創業した当初の終点の1つで、今も箕面温泉や箕面大滝の名が知られる一方で、早くから電車で都心とつながる郊外住宅地として歩んできた。したがって阪急箕面線沿線が最も早くから開けた地だが、そこは市域の西端であり、市街地は山裾を東へ東へと広がった。

発展の大きな契機となったのは、1960年代に開発された千里ニュータウン(吹田・豊中市域)で、阪急千里線が1967年3月に北千里まで延伸された。次いで阪急両路線の間に北急が千里中央と万博に延びた。北千里や千里中央が結節ターミナルとなってバス路線網が巡らされ、萱野や新船場あたりがどんどん発展していった。だから、今回の延伸区間の車窓は、意外なまでに既成市街地ということになる。

御堂筋線新大阪駅の江坂方には引上線があり新大阪ー天王寺間等の列車が入る。新ダイヤでは北急車両による大阪メトロ線内折り返し運用が誕生した(写真:松本洋一)

南北に集中して東西が弱かった箕面のバス路線

ちなみに箕面市の東端、茨木市との市境付近には、下って1998年10月、大阪モノレール彩都線万博記念公園―阪大病院前間、次いで2007年3月に阪大病院前―彩都西間が開業(駅は吹田・茨木市域)している。したがって現在、阪急箕面線から大阪モノレール彩都線まで約6kmの間には、主要な南北軸が複数並ぶ姿となっている。

箕面市は市街中央部の萱野を新都心と位置付けており、ショッピングモールにしても今回の延伸に合わせた開業ではない。もちろん路線計画があっての進出ではあるが誕生は2003年で、すでにランドマークとしての存在感を示していた。なお、「キューズモール」の名が示すところ、そのデベロッパーは東急である。

また、箕面萱野へ向けて列車が高架線に上がると、千里中央までのように大規模マンションやオフィスビルに囲まれる光景ではなく、市街地が広く見渡せるので、その違いにも驚かされる。それはもともと阪急箕面線沿線が職住分離の理想的郊外住宅地として育まれたことに起因し、箕面市は乱開発を避けるために制限を設け、自然環境ゆたかな市域全般に高層建築を許容していない。そのため、住宅地は戸建て中心に平面で広がることになったのだ。

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