ポケトークが「鬼門のアメリカ」でつかんだ自信 苦難続く日系ITスタートアップの活路となるか

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専用端末としての魅力をいかに高められるかも課題だ。端末料金はポケトークSが249ドル(日本は3万2780円)、ポケトークプラスが299ドル(同3万4980円、名称はポケトークSプラス)となっており、無料でダウンロードできるスマートフォンアプリと費用面で割高ではないかと比較されることが多い。

ポケトークの端末
名刺サイズのポケトークSに比べ画面が大きいポケトークプラス(真ん中)は、法人の利用が多いアメリカでもっとも人気の機種だ(撮影:今祥雄)

この点について松田氏は「(主にアメリカで)スマホの使用を禁止する学校や非推奨とする場所が多いほか、個人のスマホを使用するのは、情報を抜き取られる恐れなどプライバシー保護の観点でも問題がある。また、複数人で端末を利用する病院などでは10万円以上するスマホよりも専用端末のほうが安価であり、ポケトークに対するニーズは高い」と語る。

ヨーロッパはさらに大きな市場

一方で、専用端末を必要としない定額制のサービスも始めている。2023年3月に提供を始めた「ポケトーク ライブ通訳(旧・ポケトーク for BUSINESS 同時通訳)」では、チャットGPTの開発元であるオープンAI社の技術を活用し、 音声と字幕によるリアルタイム翻訳を可能にした。

ウェブブラウザにも対応するほか、2024年3月には自動で言語を判別し、双方向のコミュニケーションが可能となる新機能をグローバルにリリースしている。

松田氏は「ポケトーク・インクの四半期黒字化をみて、メルカリの山田進太郎さん(CEO)やスマートニュースの鈴木さんも、どうすればアメリカ展開をうまくできるのかと相談に来た。ポケトークは最初に成功する可能性があるし、この先ヨーロッパはアメリカと同じか、それよりも大きな市場になる可能性がある」と夢を描く。

日本のスタートアップにとって長年難所となっていた部分をどこまで攻略できるのか。松田氏率いるポケトークの挑戦に多くの視線が集まっている。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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