ポケトークが「鬼門のアメリカ」でつかんだ自信 苦難続く日系ITスタートアップの活路となるか

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トップが異国の地に身を置くことの必要性は、大学卒業後に入社した日本IBMでの経験が大きいようだ。

ポケトークの松田憲幸社長兼CEO
「アメリカ法人は採用も現地化して、『アメリカの会社』とみられることが大事だ」と話すポケトークCEOの松田氏。シリコンバレーに移住して12年になる(写真:今祥雄)

「日本でこんなにいっぱい問題があると訴えても、アメリカ本社がイエスと言わないという状況があり、悩んでいた。その気持ちがよくわかるから、ポケトークでは日本製品をアメリカに展開するやり方はしていない。アメリカの事業はアメリカ側が、日本にコントロールされない環境をつくることが大事だと思った」(松田氏)

前述のポケトーク分析・管理ツール「ベンタナ」も、現地のゼネラルマネージャーが発案したサービスだという。

先陣は軒並みアメリカで大苦戦

日本発のITスタートアップは、アメリカ進出で苦戦続きの歴史がある。老舗では、2010年代前半に楽天グループやソーシャルゲームで一世を風靡したグリー、ディー・エヌ・エーがアメリカ企業を買収し進出を試みたものの、軒並み大きな損失を出している。

2010年代半ばから後半は、ユーザベースやスマートニュースがニュースメディアとしてアメリカ市場に挑んだが、ユーザベースは買収時に掲げた3年で黒字化という目標を達成できず、2020年11月に事業から撤退。スマートニュースは2023年1月にアメリカでリストラを行った。

主なITスタートアップのアメリカ進出をめぐる出来事

ITスタートアップの雄として期待されたフリマアプリのメルカリも、アメリカ事業の運営に呻吟している。メルカリは2014年にアメリカ子会社を設立し、2017年にはフェイスブックの元幹部を幹部に任命したものの、利用者が伸び悩み赤字が常態化。

直近までの累積赤字は推定720億円にのぼり、2024年3月にはテコ入れを狙って、販売手数料の無料化という手に打って出た。メルカリは問い合わせに対し「事業ごとに累積での業績の開示は行っていない」と回答した。

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