ポケトークが「鬼門のアメリカ」でつかんだ自信 苦難続く日系ITスタートアップの活路となるか

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スポットコンサルのビザスクは、2021年11月にアメリカ同業大手のコールマン社を買収し、「小が大を飲む買収」として話題となった。

しかし2024年2月期の決算で、コールマン社の業績が買収当時における見込みを下回っていることから、同社ののれん145億円を全額減損計上したことを発表。これにより、買収資金の調達先だった取引銀行と締結している財務制限条項に抵触することとなった。

ビザスクの端羽英子CEOは「2021年後半から(売り上げの指標となる)M&A市況の悪化がみられていたが、自分自身がアメリカの状況に対して、間接的な見方になっていた。出張の回数を増やすなど、もっと直接的に関与してアメリカ事業の解像度を上げる必要があった」と取材に対して語っている。

ビザスクは5月末の株主総会で、買収先であるコールマンの創業者と、日本側で買収を主導し、会社のナンバー2でもあった瓜生英敏氏がともに取締役を退任する見込みだ。

いずれの会社も事情がさまざまで、アメリカ事業苦戦の要因は1つではない。ただ一般に言われるような言語の壁やアメリカと比べたベンチャーキャピタルの層の厚さなど、日本企業が克服すべき要因は多い。そうした中で、スマートニュースの鈴木健会長(当時社長CEOを兼任)は、2022年9月から自身がカリフォルニア州に移住するなど、挑戦を続けている。

個人利用中心の日本での拡大が課題

アメリカにおける四半期黒字化を成し遂げたポケトークとて、決して安泰ではない。

親会社ソースネクストの2024年3月期は、日本のポケトーク事業を中心とする開発人件費増加などにより、3期連続の営業赤字になっている。さらなる外部資本の活用を進めるとしても、親会社の支えがなくポケトークとして十分な投資ができなければ、盤石な成長ストーリーは描けない。

今はアメリカが先行して収益化しているが、日本でも大型の法人受注を増やすなど、日米両輪での成長が必要となる。個人利用が中心の日本市場においては、アメリカで提供を始めた顧客の分析・管理ツールを「ポケトーク アナリティクス」として拡販し、公共機関や大手企業の導入獲得を目指す。

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