外国人労働者が日本を働き先として選ばない理由 日本よりも韓国が賃金も文化も魅力的という現実

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この報告書は国籍別の来日外国人労働者を予測していますが、ベトナムは2030年までは大きく増加するが、それ以降はほぼ横ばいで推移。一方、カンボジアとミャンマーは2030年以降も大きく増加すると報告しています。

この報告書は2022年3月に発表されたものですが、その1カ月後の同年4月時点でのアメリカドル・円相場は115円前後。現在(2024年5月)時点では、160円に迫るレートで推移しています。

来日外国人労働者の主な目的は「お金」です。自国で働くよりも稼げるから海外で働く。これが現実です。

そのため、日本で稼いだお金を自国通貨に計算して「いくら稼げたか」が大切で、当然円安になればなるほど、日本円建ての給料は同じでも自国通貨に換算すれば目減りします。となると、日本で働く意欲が減退し、日本を就労先として選択することにも影響を及ぼします。

ミャンマー人にとって日本は人気があるが…

今後、外国人が日本で本当に働くのか、との不安もあります。2030年以降も日本で働く外国人として大きく増加するとされているミャンマーは、2021年2月1日にクーデターが発生し、国内経済が低迷して雇用情勢が悪化。そのため、海外に就職先を求める若者が急増しています。

ミャンマー国内で求人し、海外就労する手続きを行う「送り出し機関」は2020年11月時点で285ありました。2023年3月時点では547。うち日本への送り出し許可を持つ企業は445と拡大しています。

ミャンマー労働省によれば、日本に紹介した実績があり、実際に稼働している日本向け送り出し機関は142と見ていますが、それでも日本を就業先として選んでいる人気ぶりがわかります。

2023年12月、全世界で一斉に行われた「日本語能力試験」(日本語を母国語としない外国人の日本語力を測定)には、ミャンマー人は中国に次いで2番目に多い約10万人が受験しました。

ベトナムでは約3万人、ネパールでは約3500人であり、ミャンマーでの日本人気は目を見張るものがありますが、だとしても、手放しに喜べる状況ではありません。

ミャンマー労働省によれば、2022年4月から2023年3月まで、ミャンマーから海外へ正式に就労を申請した人数は20万8311人。うち日本は1万5010人と全体の約7%にとどまっています。トップはタイの約13万人、次いでマレーシアの約4.2万人で、3番目に多いのが日本です。

ただ、日本の人気が低いというわけではありません。そもそもの求人数が少ないことに加え、語学力を求められるため、ある程度勉強ができる層が日本を目指します。同じような状況は、韓国にも当てはまります。

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