では、ミャンマー人にとって、日本と韓国はどのように捉えているのでしょうか。
どちらで働くにも、それぞれの言葉を覚えなければなりません。一般的に、ミャンマー語と日本語は文法がほぼ同じで覚えやすく親和性も高いとされています。
実は韓国語やモンゴル語も、その点では同じ言語です。日本語は韓国のハングルと比較すると、「カタカナ」や「漢字」など覚えるものがたくさんあり、日本語学習者のやる気を削ぐことがあります。
文化面では、アニメなどを通じて日本の文化を知る機会はあるのですが、仕事の特殊性や会社の成り立ちがよく伝わっているわけではありません。一方、韓国ドラマやK-POPは生活に入り込んでおり、実際の韓国人の生活や文化が浸透し「親しみやすい国」という印象を相対的に持つ人が多いとも言えます。
最低賃金:日本8.5ドル、韓国9.5ドル
労働面でも、例えば税制からいえば、日本で働く外国人は、働いて一度退職して帰国するとそれまで納付していた5年分の年金が返ってくるという還付制度があります。これは、外国人を採用している日本企業から「なんとかならないか」と相談をよく受ける問題で、就労から5年経つと辞める人材が多いということです。
企業からすれば、5年も働いてようやく育ってきたところで退職されてしまうというデメリットが大きい。一方、韓国ではミャンマーと租税条約を結んでいることもあり、ミャンマー人からすれば年金に加えて納税した金額の多くの部分が還付されていると聞きます。5年近く韓国で働いたミャンマー人によれば「100万円相当が帰国後に還付された」と話していました。
このように、海外で働く人にとっては「賃金」がどうなのか、が一番のポイントになるのはいうまでもありません。日本と韓国の最低賃金をアメリカドルベースで比較すると、2018年を境に韓国が日本をすでに上回り、2022年には日本の8.5ドルに対して韓国は9.5ドルと差が開いています。
海外就労を希望するミャンマー人にとって、韓国のほうがお金が稼げるという事実はとても魅力的です。日本では「韓国は給料はよいが、職場環境が悪いから」という声をよく耳にします。
しかし、一部ではそういったブラック企業があるかもしれませんが、韓国で働くミャンマー人は日本同様、その現場の様子は母国ミャンマーへSNSなどで細かく伝わっており、職場環境や仕事内容も理解したうえで韓国を選んでいるようです。
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