日本が後れをとる食材「養殖ナマズ」の可能性 高タンパクで低カロリー、味はフグに似てる?

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専用のろ過装置や微生物の働きで水を循環させる閉鎖循環式陸上養殖というシステムゆえに排水する必要がないのだ。ヒレナマズは丈夫で病気になりにくいうえ、成長のスピードも速い。6カ月で体長60センチ、重さ1.5キロになったところで出荷される。

生命力の強さから滋養強壮効果に期待?

ちょうどこの日は、名古屋市内のレストランに納品するとのことで、ヒレナマズを捌くところを見せてもらった。うなぎと同様に体全体にぬめりがあるため、林田さんは滑り止めがついた手袋を着用して捌き始めた。

まずはハンマーで頭を叩いて動きを止めてから頭部を切断するのだが、包丁が入らない部分があり、調理用のハサミを使う。その後、内臓を取り除いて三枚におろす。林田さんは手慣れた手つきで捌き、10分もかからないうちに終わった。

ヒレナマズの身。ピンク色をしているが、火を入れると真っ白になる(筆者撮影)

「ぬめりがありますし、捌くのに手間がかかるのが難点ですね。今はコツをつかんでいますが、初めて捌いたときは1時間くらい格闘していました」(林田さん)

驚いたのは、切断した頭部や内臓がしばらくの間動いていたこと。素人考えだが、これだけ生命力が強ければ、滋養強壮に効果があるのではないか。アニメ「あらいぐまラスカル」の中で、主人公のスターリングが病弱な母親のためにナマズのフライを食べさせようと釣りに出かける話があるのであながち間違ってはいないと思う。

滋養強壮は別としても、ヒレナマズが高タンパクで低カロリーであるのは事実。各種ビタミンやカルシウム、マグネシウム、リンや鉄分など、体にうれしい栄養素も豊富に含まれ、疲労回復や脳の中枢神経や末梢神経機能の正常化、動脈硬化の抑制、免疫力の向上などの効能が期待できるという。

実際、林田さんは愛知県内で食事の指導も行っているフィットネスジムにヒレナマズを卸している。気になるのは、やはり味だ。名古屋市内にあるビストロへヒレナマズを届ける林田さんに同行させてもらった。

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