日本が後れをとる食材「養殖ナマズ」の可能性 高タンパクで低カロリー、味はフグに似てる?

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植物工場がきっかけとなり、食料問題を意識するようになった林田さんは、2008年に社員のために10反(約1万平方メートル)もの田んぼを借りて米づくりも始めた。さらに並行して子どもたちに動物と触れ合ってほしいという思いからアヒルや鶏、山羊などの飼育も始めた。ポニーや孔雀、羊など種類も増えていき、手狭になったことから「MINRAKU」の構想が生まれたというわけだ。

「『MINRAKU』は“みんなの楽しい体験”の略。近くの保育園の子どもたちが芋を植えて、秋になると芋掘りを楽しんだり、動物たちと遊んだりしていますよ」(林田さん)

排水する必要がない養殖の設備システム

一方、ナマズの養殖は「MINRAKU」を訪れた客のためではない。「MINRAKU」で出た生ゴミや動物たちの糞尿などを処理するためにパートナー企業とともに開発したゴミ処理施設から排出される熱を利用できないかと考えたのだ。発電も可能だが、その施設を建設するには莫大なコストもかかるため利用法を模索していた。

そこで魚の陸上養殖ができないかと思って調べてみると、岡山県にあるジャパンマリンポニックスという陸上養殖設備の販売をしている会社を見つけた。林田さんはすぐに連絡して社長に会いに行った。

ジャパンマリンポニックスは養殖業も手がけていて、中国やラオス、ベトナム原産のヒレナマズを「桃太郎フィッシュ」と命名し、県内の回転寿司店などにも卸していた。

「回転寿司でヒレナマズの握りも食べに行きましたし、唐揚げや焼きものも食べました。その美味しさもさることながら、ジャパンマリンポニックスの内尾義信社長の『ヒレナマズを日本の鮭(のようなメジャーな食材)にしたい』というひと言に共感して、やってみようと思いました」(林田さん)

林田秀治さん
「MINRAKU」のオーナー、林田秀治さん。養殖しているヒレナマズを手に(筆者撮影)

「MINRAKU」内にある養殖場の広さは約750平方メートルで、メインとなる20トンの養殖水槽が3基と5トンが1基、1トンが3基の計7基。以前に取材した愛知県の奥三河にあるチョウザメの養殖場は近くを流れる川の水を利用していたが、ここでは井戸水を使い、ヒレナマズにとって快適な28度の水温をキープしている。

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