政府支援の光と影「半導体人材」が増えぬ深刻事情 東大・竹内氏「AI半導体で日本に勝ち筋はある」

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大学でも以前は「半導体に興味がない」と学生が言うのなら、それが時代の趨勢で仕方ないと思っていた。冬の時代が長く続いたときは、研究室でも「AI研究」などを前面に掲げ、「半導体はAIを実現するための手段」と脇役扱いでやってきた。

しかし最近は、学生から「なぜ半導体の回路設計の研究をやらないのですか?」と聞かれるようになり、風向きが変わってきた。半導体関係の授業を受ける学生も増える一方だ。

受け皿が外資系企業になっている

――これから半導体業界へ就職する若者が増えてくるのでは。

今や半導体の研究開発を本格的にできる日本企業は限られている。就職先の受け皿が少ない。一方、TSMCやアップルなど外資系企業が日本に半導体の開発拠点を作る動きが進んでおり、そこの半導体部門に就職する学生は増えている。

彼らには無限の可能性がある。日本という枠にとどまらず、たとえばTSMCだったら台湾本社に乗り込み、世界の最先端の技術開発を牽引してほしい。

日本に残るわれわれには、研究開発や人材育成の面で大きな課題がある。私自身も「政府が投資してくれないから研究が進まない」などと泣き言をいっている場合ではない。円安を契機に、大学の研究者も海外企業から積極的な投資を求めるなど、大学にも新たな知恵が必要とされている。

半導体の冬の時代を経験した身としては、日本でも半導体が盛り上がってきたのは嬉しいと同時に、身が引き締まる思いだ。産官学の力を結集するならば、半導体製造にとどまらず、日本が強みを持つ現場の事業・サービスを牽引できるように、AI半導体の回路設計を推進していきたい。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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