政府支援の光と影「半導体人材」が増えぬ深刻事情 東大・竹内氏「AI半導体で日本に勝ち筋はある」

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政府予算は合理的に判断が行われ、収益が上がる分野に投資される。「日本は半導体には長年投資してきたのに、産業は振るわない」「事業化の出口が不透明では、大学への研究開発投資も難しい」と言われてしまったら、私のように以前から半導体に携わってきた人間は返す言葉もない。

その一方、伝統的な電機メーカーとは一線を画して、異業種やスタートアップが半導体の回路設計に乗り出しているのは明るい兆しだ。AIスタートアップのプリファードネットワークスが、プロセッサーを自ら開発していることは有名だし、自動運転など特定サービスを狙うスタートアップが半導体チップの設計まで手がけだしている。

これはGAFAMが半導体を手がけている動きと似ている。AIのアルゴリズムからソフトウェア、半導体の回路設計まで、もう一度作り直す。複数の技術を融合し、コンピューター全体を最適化する時代が来ている。

企業は人材育成に投資する余力がない

――かつてリストラ対象だった、半導体エンジニアが活躍できる場は増えています。

たけうち・けん●1967年生まれ。東京大学工学部卒、同大学院修士課程修了。1993年東芝入社。2003 年スタンフォード大学経営大学院修士(MBA)。2006年 東京大学大学院工学系研究科 電子工学専攻博士。2007年に東芝を退社し東大准教授。中央大学理工学部教授などを経て2020年から現職(撮影:今井康一)

新しい半導体開発の現場で、私と同世代や先輩世代、かつて日本の半導体メーカーを牽引し、その後に苦境を味わった方たちが活躍されていて頼もしい。

でも今後を考えると、不安も感じる。昭和のノスタルジーと言われるかもしれないが、かつての日本の電機メーカー・半導体メーカーは人材を育成していた。

私自身も育ててもらった一人で、かつて在籍した東芝、今のキオクシアには感謝している。

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