背水の住友ファーマ、窮地脱却を占う「次の焦点」 親会社の住友化学は「パートナー探し」を開始

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会社が示したコスト削減計画の対象は、研究開発費にも及ぶ。研究開発の対象領域を絞ることで、前期比でおよそ半減となる500億円にとどめるという。

住友ファーマはこれまで、精神神経領域が強みの1つだった。だが、主力品候補だった統合失調薬「ウロタロント」のアメリカでの開発が滞り、3月には共同開発していた大塚製薬が単独で開発する体制に切り替えると発表。住友ファーマは今後、がんと再生医療の2領域に集中する。

薬の開発は、製薬企業の成長を占う要だ。自社で開発するにせよ、買収などによって他社の開発品を導入するにせよ、相応の費用と時間を要する。業界では売上高の2割前後を研究開発費に回すことが一般的とされ、成功確率も低いことから、複数の製品を並行して開発する必要もある。

住友ファーマで目下開発が進んでいる品目数は約20。売上高が同規模の塩野義製薬やエーザイでは40近くあり、競合と比べると少ない状況だ。今期だけでなく来期も、研究開発費は500億円程度に抑える方針という。

住友化学はすでに売却を模索か

資金繰りが厳しさを増す中、当面は中長期的な成長投資よりも、会社の存続に向けたコストカットに集中せざるをえない住友ファーマ。こうした状況下で、親会社の住友化学は4月30日に開いた会見で、住友ファーマへの出資比率(現在は約51%)を変更する可能性について言及している。

これについて野村社長は「住友ファーマを今後どう成⻑させていくかという中での話と理解しており、(出資比率の変更や他社への株式売却などの)提案があれば、前向きに検討したい」とコメントしている。複数の業界関係者によれば、住友化学はすでに複数の製薬企業に対し、住友ファーマの株式売却を打診しているもようだ。

また、住友化学は住友ファーマの再生医療事業について、住友化学主導で今期中にも別会社化すると発表している。住友化学の岩田圭一社長はこの新会社について、パートナー探しをすでに進めていると明かした。

コストカットを進めつつ、新たなパートナーを見つけることはできるのか。明確なシナリオはまだ見えてこない。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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