政府・財務省の円売りドル買い介入の大いなる罪、相場の総崩れ招く

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 マネーパートナーズグループのディーラーで『「日本発」世界大恐慌』の著書もある金井晴生氏は、ミセス・ワタナベの動きをつかむために、「くりっく365」では6つの通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、スイスフラン、カナダドル)の対円売り買いのポジションをチェックしているという。

■くりっく365の売買 [+表をクリックして拡大]

グラフは金井氏と同じ手法で、各通貨の対円の売り買いのネットのポジションに各通貨の終値をかけてグラフにしたものだ。ここでは、ニュージーランドドルを加えて、7つの通貨で合計している。金井氏によれば、「輸出入に伴うものや保険金の支払い、投資信託や年金の運用などの実需は売り切り、買い切りとなるが、FX取引の場合はいつかは手仕舞いをしなければならないので、需給の動きを見るうえで有効だ」という。

グラフに見るように、膨大な円の売りポジションが積み上がってきている。介入前の8月3日時点で見ると、各通貨の終値で計算すると、7178億5075万円になる。公設取引所である「くりっく365」はFX取引で10%のシェアがあるので、これを10倍すると、7兆1785億円の売りポジションが個人のFX投資家のポジションだと推定できる。

ちなみに、シカゴの直近の開示である7月26日のIMMポジションでは、ネットの円買いは6400億円余りなので、この程度は吸収して余りあるミセス・ワタナベの「円売り」なのだ。つまり、震災後の一方的な円高の背景には、「このミセス・ワタナベの逆張りを吹き飛ばして上昇を続けるほどの実需の円買いがあった」と金井氏は指摘する。

介入が行われた8月4日については、表に見るように、「クリック365」で動きを追うと、円に対する主要外貨の買い越し残が1694億円分減っている。10倍として、介入に対して1兆6940億円の外貨売り・円買いが出たと推定できる。損を抱えていたミセス・ワタナベにとっては、政府が買ってくれるので、やれやれ売りである。しかし、まだ、5484億円分の買い越し残があり、10倍と見れば5兆4840億円である。

「再び、80円台をつけるところまで円安にならなければそのままだが、介入を続けて円安に持っていけば、この投機家たちに絶好の逃げの機会を提供する」(金井氏)ことになる。

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