政府・財務省の円売りドル買い介入の大いなる罪、相場の総崩れ招く


外為特会に膨らむ損失

過去の介入の結果、日本の国庫には大きな損失が残っている。対外純資産のうち3分の1は外貨準備だが、その中身は惨憺たるありさまだ。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、「過去に110兆円余りの円を借り入れてドル買いの介入を行って、外国為替資金特別会計には40兆円近くの含み損が出ている。クーポン収入をためていれば理論上は収支トントンとなるが、これを予算で使ってしまっているので、外貨準備を取り崩すと損が実現する」という。いわゆる”埋蔵金活用”ということで、予算で使ってしまったのである。

今回も、初日の介入額だけでも4兆円という推定がなされているが、これも円高が再び進めば評価損を抱える。自国通貨高は購買力を増す。政府がカネを使って、これを抑制しようとするのは、家計から見ればとんでもない背信行為であるばかりか、財政赤字がさらに膨らみ、いずれは国民負担に付け回される。

円売りドル買いの介入とは、輸出企業への補助金にほかならない。もし、本当に円安方向に転換できて、輸出企業が潤い、雇用を増やしたり従業員の賃金を上げたりできるのならよいが、輸出企業はすでに、円高の前から需要地である中国などへの移転を進め、雇用については非正規労働を多用して賃下げを行っている。こうした企業に雇用吸収はもはや期待できない。

また、前述のように、そもそもファンダメンタルズによって円高の流れができており、介入によって円安に転換することは、多額の介入資金をかけても不可能だ。

介入に効果がないことは、「東洋経済オンライン」の佐々木氏へのインタビュー記事でも紹介している。→こちら

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