政府・財務省の円売りドル買い介入の大いなる罪、相場の総崩れ招く

政府・日銀が8月4日の朝方から円売りドル買い介入を実施、5日も市場では午後から介入を再開したとの観測が流れている。しかし、円売りドル買い介入は効果が薄いばかりか国民負担が発生し、大きな禍根を残しかねない。

円高は経済の構造上、自然な流れ

まず、今般の円高の背景は、野田佳彦財務相の言うような「投機的、無秩序な動き」ではない。欧州周辺国のソブリン危機、米国の債務上限引き上げ問題に加え、景気回復期待の後退があって、世界中の投資家がリスク回避モードになり、円が買い戻されている。欧米は金融危機後のバランスシート調整に時間がかかり、景気への不安が幾度もぶり返す状態にある。民間の負担を減らすために財政出動を行ったが、財政余力には限りがある。市場はそこを不安視している。

加えて、長期的な流れとして、米ドルは他の通貨に対しても下がる傾向がある。米国は経常赤字国で、円ベースで世界最大の252兆円余の対外純債務国、これに対し、日本は経常黒字国で、世界最大の251兆円余の対外純債権国。現在のように、金利差がほとんどない状態になると、ドル安円高傾向になる。米国はインフレ、日本はデフレであることからも、ドル安円高で調整されるのは当然の動き。つまり、ファンダメンタルズを反映したものだ。

「ミセス・ワタナベ」は大きな円売りポジションを抱えていた

需給関係を見る場合、投機筋の動きとしてよく引き合いに出されるのは、シカゴのCFTC(米商品先物取引委員会)が発表するIMMポジション(通貨先物ポジション)。ヘッジファンドの動きとして紹介されるが、いまは日本の個人投資家、いわゆる「ミセス・ワタナベ」の存在感が大きくなっている。

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