若者は、なぜLINEで人を傷つけてしまうのか コミュニケーションに「4&4のチェック」を

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では、どうすれば《建設型》にできるのか。一番手っ取り早い解決策は、腕のいいファシリテーターを議論の場に起用することだ。だが、津々浦々にそんな便利な交通整理役がいるわけではない。ならば、他力本願はもう捨てて、私たち社会の構成員一人一人が上手に言葉のキャッチボールができるようになっていくしかあるまい。薬に頼らず、自力で己の(=社会の)体質改善を図ろう。

――でも、どうやって「体質改善」すればよいのか?

以上は、リアル社会の悩み。しかしネット社会では、より根深くこのコミュニケーション不全症が進行している。

「発信なんて、したことない」と言うスマホ学生たち

先日私は、『10代からの情報キャッチボール入門――使えるメディア・リテラシー』(岩波書店)という本を上梓した(岩波書店)。

ネットの世界で、どうすれば情報洪水の被害者にも加害者(!)にもならずに済むか。その方策を26パターンの成功例・失敗例で説いたガイドブックなのだが――実は今、教鞭をとっている3大学の学生たちから寄せられる感想文の中に、かなり気になる記述が相次いでいる。

「(この本を読んで)LINEやメールも、情報を発信するものだということを知り、驚いた」

これは、最近のSNSに疎い高齢者の発言ではない。肌身離さずスマホを持ち歩き、現にLINEやFacebookやTwitterで日常的に情報を発信している、大学生の言葉である。それも、1人や2人ではない。

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