モリゾウが理事長に就任というサプライズの真意 新体制で臨む「スーパー耐久」レースの未来

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これまで自ら参戦してきたモリゾウが、スーパー耐久主催者の思いを“私事”として捉え、新たな事業体系への転換を協議する。

では、新たに発足するスーパー耐久未来機構は、次世代のスーパー耐久をどう考えているのか。今回の会見で明らかになったのは以下の通りだ。

基本になるのは、これまでどおり「レース好き・クルマ好きが集まるスーパー耐久の魅力を大切に守り、発展させること」。そのうえで、さらに3つの柱を明確に立てた。

(1)カーボンニュートラルに資する活動として、新エネルギー車の走行やカーボンニュートラル出張授業などの社会貢献活動を行う
(2)草の根モータースポーツの楽しさを普及すべく、アジアなど新しい地域へ取り組みを拡張する

(3)人材育成や地方創生に資する活動として、子どもたちにクルマやモビリティの魅力を伝達する

以上によって、「明るく楽しい未来のモビリティ社会づくりに貢献する」とした。

気になるメーカー、特にトヨタの影響力

今回、自動車メーカーなど大手企業がスーパー耐久未来機構に拠出したことで「メーカー主導型のレースになるのか」という見方をされることがある。

また、トヨタとの関係が深い企業が名を連ねていることから、「トヨタの影響力が高まるのではないか」と見る向きも、当然あるだろう。

だが、あくまでもスーパー耐久は「参加者が主役」であり、参加者と主催者が未来に向けて「ともに考える場」であることに変わりはないことを、スーパー耐久未来機構は強調している。

スーパー耐久2024第1戦「SUGO4時間レース」決勝終了直後のピットロード(筆者筆者)
スーパー耐久2024第1戦「SUGO4時間レース」決勝終了直後のピットロード(筆者筆者)

ただし、「参加者型」といっても、一般ドライバーが気軽に参加できるレースではない。全国転戦にともなうチーム体制の構築にはそれ相応のコストがかかり、またドライバーの技量もここ数年で一気に上がった印象があるからだ。

6月から正式に新組織体制となる、スーパー耐久。次戦となる第2戦・富士SUPER TEC 24時間レース(5月24〜26日)では、スーパー耐久の次世代化に向けた新たな情報発信があるかもしれない。

モリゾウを理事長とし、“3つの柱”を明確にしたことにより、スーパー耐久が日本の自動車産業の未来に大きな影響を及ぼす可能性が、さらに高まった。これからも定点観測して、その変化をお伝えしていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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