「東大受かった子」にかかる"教育投資の平均値" 香川から大阪まで塾に通い合格した学生も

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なぜ、東京や神奈川などの首都圏出身者が多いのでしょうか。基本的には、都会で育ったほうが受験には有利になります。なぜなら、優れた塾や予備校などの教育サービスにアクセスしやすくなるからです。

例えば、大手予備校グループである駿台予備校に注目してみると、東京や大阪にはそれぞれ7校の校舎があることがわかります。一方で、関東・東海・関西以外の地域には、ほとんど校舎がありません。札幌、仙台、広島、福岡に、それぞれ1校ずつあるだけです。

私は以前、香川県から東京大学に合格した学生に話を聞く機会がありました。彼との会話で1つ、印象に残っている言葉があります。それは、「予備校の授業を受けるために大阪まで行き、ホテルに泊まって、自宅がある香川まで帰った」という話でした。

私は東京の出身です。東京にはさまざまな予備校があり、渋谷、新宿、池袋まで出れば、誰でも手厚い教育サービスを受けることができます。塾に通う交通費も、東京近郊に住んでいれば、せいぜい片道300~400円程度あれば足ります。私にとって、教育サービスは、「いつもすぐそこにあるもの」でした。

交通費と宿泊費を捻出して塾通い

一方で、香川県に住む彼にとって、教育サービスは「すぐそこにあるもの」ではありません。

大手予備校である駿台の校舎は四国にはなく、河合塾もマナビスという映像授業主体の予備校が県内に1つあるのみ。休みを使って特別講義を受けたいときは、高い交通費と、時には宿泊費を出して、大阪などの都会に行くしかありません。彼にとって、地元から高いレベルの教育サービスにアクセスすることは、大変困難を伴うものでした。

また、沖縄から東大に合格した別の学生に話を聞いたこともありました。彼は、塾に行かずに東大に合格した、大変優秀な学生です。しかし、塾に通わなかった理由は、「通いたかったけれども、近くにまともな塾がないから」でした。

通いたいと望んでも、難関校への合格実績が多数ある塾が近所にないパターンもある。四国ならともかく、沖縄から本州に渡って塾に通うのは、金銭面でも体力面でも、大きな困難を伴います。

地方から東京大学に合格する学生の少なさは、教育投資に対する意識の低さもあるかもしれませんが、塾の少なさなど、その投資先が限られていることも原因としてあるでしょう。

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