ユーチューバーら招待「新型やくも」試乗会の背景 周囲の乗客気にせず、自在に車内の撮影が可能

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米子から出雲市に向かうDコースに参加した岡山県玉野市在住のとしあきさんは、特急やくも号は「島根県方面に行くときには毎年よく乗っていた」と話し、インフルエンサー向け試乗会の募集開始直後からツイッターやユーチューブショートで積極的に情報発信を続けてきた。

としあきさんの運営する「女子鉄まほろ(SPとしあき)」のチャンネル登録者数は3万人を超え、普段は岡山エリアを主戦場に動画配信を行っている。当初は「試乗会の開催場所が山陰地区で岡山からは少し遠かったことから、営業開始直後に乗ればよいと最初は申し込むつもりはなかった」というが、「インフルエンサーに向けて1編成が丸ごと貸し切りになるという報道を見て、車内を自由に撮影できるチャンスは営業運転開始後でもなかなかないと思い応募を決めた」と振り返る。

旧型のやくも号となる国鉄型の381系電車については「(車内の揺れで)よく乗り物酔いしていたのであまり好きではなかった」が、ゆったりやくもに改造された車両が登場してからは「重心が高くなり乗り心地が改善され嫌いではなくなった」と話し、「新型車両の新しい振り子装置には期待している」と話してくれた。特急やくも号の特徴である「振り子装置」とは、列車がカーブを通過する際に車体をカーブの内側に傾斜させることで遠心力を打ち消し、カーブ通過時の速度向上を図ろうとするものだ。旧型の381系電車ではこの振り子装置で不自然な車両の揺れを感じ乗り物酔いを訴える乗客が多発していた。

乗車後に改めてとしあきさんに話を聞くと「新型車両では、高速走行時の揺れは気になったものの、381系電車の時に感じた不快な揺れが軽減されていた。普通車の座席は劇的に乗り心地がよくなった」と印象を語ってくれた。さらに「営業運転開始後には、グリーン車などについてもじっくり追加取材をしていきたい」という。

ゆったりやくも編成とも離合した(筆者撮影)

SNSは媒体広告にはない拡散力がある

JR西日本山陰営業部の担当者は、企画の背景について「最大の情報発信ツールになりつつあるSNSは、媒体広告にはない拡散力があること」から、「多くの方々に273系新型やくもに『実際に乗ってみたい!』と感じていただくためには、車両のリアルな良さを発信していただけるインフルエンサーの方々のお力添えが効果的という結論に至った」と話す。

さらにJR西日本山陰営業部が事務局を務めている「山陰観光連盟」のSNSでの発信を通じて「その影響力の高さを実感していたこと」も影響しているという。

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