ユーチューバーら招待「新型やくも」試乗会の背景 周囲の乗客気にせず、自在に車内の撮影が可能

拡大
縮小

試乗会列車は、前側4両がインフルエンサー15人での貸し切り。そして、後側4両にはJR西日本アプリWESTER会員向け試乗会で56倍の倍率を突破し抽選で選ばれた約100人が乗車した。

席についたインフルエンサーたちの行動を観察していると、スマートフォンにナレーションを吹き込みながら実況動画を撮影したり、窓に複数のカメラを吸盤で貼り付けて車窓の風景を撮影したり、持参したクマのぬいぐるみを座席や窓辺において撮影に勤んだり、とさまざまだ。

定刻になり試乗列車が出雲市駅を発車すると、車内放送で「official髭男dism」の「Pretender」が流れ旅情を掻き立てる。出雲市駅のある島根県出身で山陰地方にゆかりがあるバンドであることが、車内チャイムへの楽曲起用の理由であるという。なお、岡山発出雲市行では「I Love...」が起用されており上下で2曲の異なる楽曲が楽しめることも特徴だ。しばらくすると車窓には宍道湖が広がった。

コンパートメント席の車窓に広がる宍道湖(写真:ゆっくまー@YouTubeクマ旅ch)

日本各地の鉄道を実況旅行形式の動画で紹介しているダイさんは広島県東広島市からAコースに参加した。ダイさんのチャンネル登録者は5万人を超える。募集発表時の印象については「昨今ではテレビを見ない世代もいることから幅広い世代にPRするにはSNSを活用することが効果的で、自分も含めて新型車両にいち早く乗りたいというインフルエンサーの気持ちも汲んでくれていることからこれはうまい企画だと感じた」と振り返る。「普段の動画撮影時は周りの人を常に気にしているので、動画を1本撮影するだけでも相当疲れる」そうだが、「今回はその心配がなかったので本当に撮影がしやすかった」と話してくれた。

募集開始時から積極配信の岡山県在住者も

特急やくも号は、岡山―出雲市間220.7kmを伯備線経由で結ぶ特急列車で、1日15往復が運行されている。1972年3月、山陽新幹線の新大阪―岡山間開業に合わせて運行が開始された。当初は気動車による運行でキハ181系が使用されていたが、1982年7月の電化開業に合わせて381系電車が投入され、以降40年以上にわたり活躍を続けてきた。

特急やくも号の42年ぶりの新型車両となる273系電車は2024年4月6日から運行開始され、その後、旧型車両を順次置き換えていき旧型の381系電車は6月14日で運行終了となる。翌6月15日からは原則として15往復すべてが新型の273系電車で運行される。なお、ゆったりやくも編成の381系電車のみはしばらく残され、273系電車が検査や修繕などの際に代走という形で運行されることがあるという。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT