「3大映画祭制覇」濱口竜介語る"日本映画の課題" 国際的評価をされても大ヒットにつながらず
――やるべきか判断がつかない、とは具体的には?
自分自身の映画作りの基準を保ってきているから、これまで映画を作ってくることができたと思っています。そういう基準を変えずに映画作りができるパートナーかどうか、ということの判断は、短期間ではつけることができません。
あとは、その企画や映画自体がおもしろくなりそうだという確信が得られなければやらないとも思います。「アカデミー賞受賞監督」としての自分に持ちかけられるような話は、その翌年には別の人でいいわけです。自分とマッチしていない、自分の能力ではおもしろくすることが難しい、と思うものも多いです。その作品をおもしろくできなければ、自分にとっても、作品にとっても不幸なことです。
グローバルプラットフォームに感じる魅力
――『ドライブ・マイ・カー』の最終興収は13.7億円でした。この結果をどう見ていますか?
カンヌ受賞後の公開時は、最終興収の3割くらいの入りでした。そこから、アカデミー賞のノミネート、受賞があって、興収が大きく積み上がっていきました。ヨーロッパの映画祭と比べて、日本の観客に対するアカデミー賞の影響力の大きさを痛感しました。
――独立系映画は、世界の評価がないと、作り続けるのが難しい環境にあるとも言えるのでしょうか。
作り方も多様化してきているので、それだけが出口ではないとは思います。ただ、いまだ独立系の映画にとっては国際映画祭での評価がひとつの大きなステップになる状況ではあります。
――グローバルプラットフォームによる配信流通や制作参加も多様化の1つですね。
そういうところと実際に仕事をしている同年代や若い世代のクリエイターの話をよく聞きます。すでに選択肢の1つになっていると思います。余裕のある会社が多様な作品を作るという流れがいつの時代にもあるので、配信系からいろいろな作品が出てきてくれるといいなと思っています。
――濱口監督は、グローバルプラットフォームとの仕事に興味はありますか?
従来の日本の映画やドラマとはまったく異なる予算やクオリティの基準で制作できるのは大きな魅力ですし、世界に向けた可能性がある仕組みだと思います。自分がそこでやるか否かは、おもしろくなりそうな企画ができるかどうかに尽きます。おもしろくなりそうな企画を自分で思いついたら持ち込むこともあるかもしれません(笑)。
長野県の自然豊かな高原に、グランピング場を作る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりを受けた東京の芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだったが、森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は地元の人々の生活にも及んでいく。
音楽:石橋英子
出演:大美賀均、西川玲ほか
4月26日全国公開
(C)2023 NEOPA / Fictive
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