「脱炭素の次は水」。企業が迫られるリスク対応 先進企業から学ぶべき「流域での連携」戦略
気候変動の影響が増大していく中で、水の視点でサプライチェーン管理に向けた取り組みを開始する企業が増え始めている。
では、日本企業が取り組むうえでどういった課題があるのだろうか。
商社がからむことが多い日本のビジネス形態では、特にトレーサビリティの確保が困難になる。すべての輸入産品をトレースすることはほぼ不可能だが、バリューチェーンのどこで取り組むべきか、適切に優先順位付けすることが肝要だ。
第一歩はバリューチェーンの水リスク分析
第一歩として、自社の関わる水リスクの全体像をつかむために、重要品目の原材料調達を含めたバリューチェーンの水リスク分析を行うことが推奨される。そのために、Water Risk FilterやAqueductなどの無料で公開されているグローバル・ツールを使用し、どの流域にどのような水リスクがあるのか、自社ビジネスとの関わりを把握することを推奨したい 。
優先流域が絞られてきた段階では、 正確に現地の水リスクとそれを取り巻く環境を把握することも非常に重要なステップとなる。
近年、 サステナビリティ経営への関心も高まっている。目標設定の枠組みであるSBTs for Natureや、情報開示の枠組みであるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいて対応を開始していくことも投資家の信頼を得るきっかけの一つになるだろう。
グローバルに事業を展開する企業は、世界の水に事業を支えられている。事業の継続に不可欠な「水」への責任あるコミットメントが期待される。
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