なぜ若者はホリエモンに"勘違い"を抱くのか 「老害を駆逐してくれる救世主」ではない

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そういう競争力のない若者が、不思議と堀江さんの言動を見て「自分たちのような日本の老害に苦しんでいる若者に有利な世界が来るのではないか」と勘違いしている。

しかし、老害に苦しめられるような競争力のない若者が、世界中がライバルとなる本当の競争社会に放り込まれたとき、そこで勝てる見込みは万にひとつもない。フェアな競争社会になればなるほど、どうしたってガッツのある第3世界の若者のほうが有利だからだ。

その意味では、堀江さんに反発する「老害」のほうが、まだ堀江さんの本質をわかっていると言えるだろう。今の既得権益を失うと困るから、競争社会を切り開かれては困るというわけである。

今の若者も「老害」と同じカテゴリーにいる

ではなぜ、若者は堀江さんを見て勘違いするのか? その理由はほとんどひとつだろう。彼らは、自分たちが「既得権益を受けている側」ということが理解できていないのである。自分たちが、自身がもっとも嫌う老害と一緒のカテゴリーに所属している人種だと想像できないのだ。

たとえば、堀江さんに定期的にアクセスできる若者は、スマホを所持してインターネットにストレスなくアクセスできる環境にあるだろう。それがそもそも既得権益であり、チャンスの芽だということを理解できない。

インターネットには、本当に信じられないくらいの量の情報が転がっている。インターネットの最大の利点といえば、その膨大な情報にストレスなくアクセスできることだ。そして、その情報を生かして何かを調べたり、学んだりできることである。勉強の道具、教科書になるのである。

たとえば、今ぼくはカメラや撮影の勉強をしているが、20年前は専門の学校か企業に入らないとアクセスできなかった知識や技術というものを、ほとんどタダで、ほとんど移動せず、ものすごい勢いで吸収している。そうして、今ではおカネを稼げるレベルにまで到達する道筋も見えてきた。プロとしての勘所がつかめてきたのだ。

その習得に費やした期間は1年にも満たない。それも、ほかに仕事をしながら、空き時間に勉強しただけでそこまで来た。それもこれも、インターネットの信じられないくらいの情報量のなせる技だ。チャンスというのは、多くの日本人が持っているスマホの中に、無限といってもいいほど大きく広がっているのだ。

ただ、インターネットの使い方を、多くの若者は知らないということがあるだろう。彼らはただ、自分たちを慰めるようなコミュニケーションに使うことに終始し、ちっとも勉強の道具にしていない。

ぼくは、インターネットをどう勉強に役立てるか、その方法を知っている。しかし多くの若者は、インターネットにアクセスできる環境にあるにもかかわらず、そこから情報を引き出したり、勉強をしたりする方法を知らないのである。

その意味で、これからの人類にとって最も重要となるのは「勉強をする能力」となるのではないだろうか。これをどう身につけるか、あるいはどう磨いていくかというのが、人生の大きな分かれ道になる。

 
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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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