イラン攻撃→「全面衝突」あるか、たった1つのカギ 「水面下の戦争」から局面一転、直接攻撃の衝撃

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自制を求める声を無視し続けるイスラエルに対し、バイデン政権は批判のトーンを強めており、大統領は民間人保護を徹底しなければ、軍事支援を見直すと警告している。

今回、ジョー・バイデン大統領はイスラエルのイランに対する報復攻撃を支持しない意向を伝えており、イスラエルがアメリカの要請に耳を傾けるかがカギとなる。

報復ならドローン生産拠点か

イスラエル側にも事態を悪化させたくない事情がある。ガザ戦争で予備役を招集するなどイスラエル社会には大きな負担が掛かっており、弾薬も十分な量が確保できていない。

昨年10月の奇襲攻撃でハマスは短時間に数千発のロケット弾を発射するという「飽和攻撃」を行い、防空システムの能力限界を超えることでイスラエルに甚大な被害を与えられることを証明した。

イランのドローンの優位性は、安価で大量生産可能という点にあり、イスラエルは迎撃するために高価なシステムを運用しなければならない。さらに飽和攻撃が実施されれば、飛来する多数のドローンや弾道ミサイルをさばき切れないことは確実で、今回のイランの攻撃は将来的な軍事衝突を視野に、双方にとって貴重な軍事情報の蓄積が可能になった。鉄壁の守りを誇るイスラエル軍基地への攻撃に成功したことで、イランは一定の手応えを感じているだろう。

イランのドローン生産は、ウクライナ戦争をめぐってロシアに大量供給するなど重要な産業になっている。イスラエルへの攻撃に投入したことで、輸出産業として育成するためのショーケースとする思惑があったとの分析もある。

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