イラン攻撃→「全面衝突」あるか、たった1つのカギ 「水面下の戦争」から局面一転、直接攻撃の衝撃

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イランは大使館への攻撃を「われわれの本土への攻撃と同じ」(最高指導者アリ・ハメネイ師)と反発して報復を宣言しており、イスラエル領内への攻撃が確実とみられていたが、想定よりも大規模だったとの見方もある。

ただ、イランの国連代表部は、攻撃の最中に「問題はこれで終わったものと考える」と早々に事態の幕引きを図り、イスラエルの報復攻撃を牽制した。

イスラエルは弾道ミサイルを想定した対空防衛システム「アロー」や、最大射程300キロ程度のミサイルを対象にした対空防衛システム「デービッドスリング」、ロケット弾や攻撃用ドローンを迎撃する防空システム「アイアン・ドーム」を実戦投入して磨きをかけてきたことをイランも熟知しており、大半は迎撃されることを想定していたもようだ。

弾道ミサイルはイスラエル軍基地に着弾

さらに、イランは中東の関係国などに対してイスラエルに対する攻撃を行うと事前に通告しており、イスラエルやアメリカが攻撃に対処できる余地を与えていた。この結果、中東に駐留するアメリカ軍や発進したイスラエル軍機がシリアやヨルダン上空などでイスラエル領空に無人機や弾道ミサイルが侵入する前に大半を迎撃した。

イランは攻撃で大きな被害が出ないことを計算に入れながらも、軍事的な標的に少しは打撃を与えられるかもしれないとの読みもあった。イスラエルやアメリカは「99%」の迎撃に成功したと防空システムの有効性を強調している。

これに対して、テヘラン大学のモハマド・マランディ教授は中東の衛星テレビ局アルジャジーラの番組で、イランの攻撃は「デコイ(おとり用の模造品)兵器」を織り交ぜたもので、弾道ミサイルはイスラエル軍基地に着弾してダメージを与えたと指摘。高額な防空システムに対して安価なドローンを大量投入した攻撃が成功したとの認識を示した。

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