定年後の再就職「成功する人・しない人」の決定差 従来の知識・やり方を手放すことも時には大切

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「これまでの長い会社員人生で携わった、さまざまな仕事や役割は定年と同時にすべて取り上げられ、その先は『ジョブ型』に移行することになります。

そういう意味でも、50代のうちに、あるいは再雇用の5年の間に、『自分は最終的にどの仕事のプロとして生きたいのか』、自身の強みや専門性を極めておいてもらえると、セカンドキャリアにスムーズに移行しやすいです」

ただ、専門性を極めたとしても、「その仕事が他社でも通用するのか」という視点も持ち合わせておくべきだ。

たとえば「人事のプロ」「生産管理のプロ」と言っても、それはあくまで自社で培った専門性ややり方であり、他社でもプロとして通用するとは限らない。

従来の知識ややり方だけに固執せず、ときに軽やかに手放し、新しい学びを取り入れる『アンラーニング(学習棄却)』も必要」と、中田さんは強調する。

与えられた仕事の中で何にやりがいを持てたか

こうして自身の経験や専門性を活かして働く方法もあれば、自分の好きなことや楽しいと思える仕事に1からチャレンジする道もある。

ただ、長年会社から与えられたミッションに応え続けていると、自分の中にある「本当はこれがやりたい」という望みが湧きづらくなる、と中田さん。

「与えられた仕事の中で何にやりがいを感じ、どの部分に楽しさを感じていたのか。“やりがいの内訳”について掘り下げてみるのはおすすめです。

あとは毎日のルーティーンから飛び出して、いつもと違う道を歩いてみたり、新たなコミュニティに参加してみたりすると、それまで動かなかった気持ちがふっと動くことがあります。

これからの人生で自分は何を大切にしたいのか、自身の本当の望みや価値観に気づきやすくなるでしょう」

前編「"普通の"元会社員ほど定年後「仕事がない」切実

伯耆原 良子 ライター、コラムニスト

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ほうきばら りょうこ / Ryoko Hokibara

早稲田大学第一文学部卒業。人材ビジネス業界で企画営業を経験した後、日経ホーム出版社(現・日経BP社)に。就職・キャリア系情報誌の編集記者として雑誌作りに携わり、2001年に独立。企業のトップやビジネスパーソン、芸能人、アスリートなど2000人以上の「仕事観・人生哲学」をインタビュー。働く人の悩みに寄り添いたいと産業カウンセラーやコーチングの資格も取得。両親の介護を終えた2019年より、東京・熱海で二拠点生活を開始。Twitterアカウントは@ryoko_monokaki

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